海外情勢

「マスク着けず」香港で論争 新型コロナで帰還の欧米人やり玉

 香港で新型コロナウイルスの感染者が再び急増した3月中旬、ショーン・ブラウンさん(52)はマスクをせずにバスに乗車していた外国人家族のグループを見て驚いた。香港ではほぼ全ての市民がマスクを着用しており、プライベートジェットの操縦士を務めるブラウンさんは、この外国人グループが香港に最近戻ってきた人たちだとすぐに気付いた。新型コロナの感染拡大初期に香港を離れたものの、感染が世界に広がったため香港に結局戻ってきた富裕な外国人も多い。

 新型コロナ封じ込めのモデルとして広く認知されている香港を域外からの流入症例が脅かしており、今ではこうした帰還者が論争の的になっている。

 「彼らは新型コロナから逃れていると考えていたが、今ではウイルスを持ち帰る形になっている」とブラウン氏は話す。域外からの全入境者が14日間の自主隔離対象になる日が迫っていたこともあり、3月半ばは大急ぎで香港に戻る人が多かった。その結果、香港の新型コロナ感染者は356人へと2倍余りに急増。政府が2カ月間感染をおおむね抑え込めていただけに、衝撃的な増加ぶりだった。

 香港の狭い集合住宅にとどまり、幼い子供を抱えながら在宅勤務を余儀なくされ、トイレットペーパーなどを買い求めて長い列に並んできた多くの外国人居住者から同情の声はほとんど聞かれない。フェイスブックでは今になって香港に戻り、自主隔離も拒む人々に怒りの矛先が向かう。

 香港では当初、中国本土から戻った人々の間や、武漢市などの本土都市と直接関係がある人々を通じて感染が広がったため、域内の外国人が名指しで批判されることはないように見えた。だが、今では欧米人がウイルス感染を広げていると見られることが増えている。地元紙も域内の外国人に狙いを定めており、蘋果日報は「マスクせずに歩き回る欧米人」との見出しで、マスクをしない愉景湾(ディスカバリーベイ)住民に関する記事を1面で報じた。

 愉景湾に住むブラウンさんは、ただ単に現地の習慣や敏感さを尊重するためだけでも、外国人居住者はマスクを着用すべきだと話す。「周りの文化に丁重であるべきかもしれない。買う余裕がないというわけではないのだから」と語った。(ブルームバーグ Iain Marlow、Bei Hu)

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