海外情勢

北朝鮮、風邪の症状でも結核施設に強制隔離 正恩氏不在の3週間と一致

 経済活動も死活的に縮小し、恵山(ヘサン)では「チャンマダン(自由市場)」を閉鎖。だが商人は携帯電話で直売を続け、駅前やバス停など人が集まる場所にも小規模な取引場が自然発生した。

 経済開発に力を入れる羅先(ラソン)や新義州(シンウィジュ)では4月中旬に突然、中国からの物流統制が緩和されたという。男性は「この2地域は物流の大動脈。長期に遮断すれば餓死者が出る恐れもあり、緩和せざるを得なくなったのではないか」とみている。

 一方、平壌(ピョンヤン)では同じ時期、住民に「社会主義保健制度の優越性と正当性」の宣伝や「防疫こそが最高尊厳(金氏)を守ることになる」という認識の浸透が図られ始めた。

 「クラスター化」を避けるためか、集会ではなくスピーカーや戸別放送で音声のみによる「録音講演」が多用されているといい、所属ごとに自己批判などで忠誠心を確認する「生活総和」も個人報告に移行。

 新型コロナについて北朝鮮は現在も感染者の存在を認めないが、4月初旬の平壌では建物の消毒や食堂での“3密”回避などが厳格に実施され、「重苦しい暮らしを強いられている」と訴える人もいたという。

 外出時のマスク着用は北朝鮮でも義務化。ただ未着用者もおり、「大学生らが臨時編入された防疫監視チームが調べてマスクの不携帯が分かると反省文を書かせる」(住民の報告)。

 治安機関は警戒態勢

 北朝鮮情勢に詳しい麗澤大の西岡力客員教授の話「現地からの情報では、北朝鮮住民の間には『飢えて死ぬか、肺炎で死ぬかだ。黙って死んではいかない』などという声が全国に広がり、金正恩、与正の兄妹の責任を問う者も出て、暴動を恐れる治安機関は3月22日から非常警戒態勢に入ったと聞く。ウイルスの蔓延(まんえん)で独裁体制が揺らぐほどの大打撃を受けている」

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