国内

政府支援も止まぬ不安の声 緊急事態解除も需要回復見通せず

 政府が決めた第2次補正予算案では、自粛要請で業績が急減する中小企業などへの給付金や資本支援などが盛り込まれた。ただこれまでも創業初期のベンチャー企業などが支援の要件に当てはまらないほか、緊急事態宣言の解除後も需要が回復するかは見通せず、現場からは今後の経営を不安視する声が止まらない。

 「新株発行による第三者からの資金調達が必要です」。観光施設の予約サイトを手掛ける東京都内のベンチャー企業の経営者は今月、11月末に控える7億円の返済も念頭に、日本政策金融公庫(日本公庫)に追加の借り入れを相談したところ、こう告げられて面食らったという。

 政府は中小企業支援として国の緊急対策として実質無利子・無担保の融資を実施するが対象は原則、売上高が減少した企業。このベンチャー企業の売上高は右肩上がりで推移。経営者は「他からの資金調達のめどがないと貸せない」と受け取り、現在はベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)に追加出資を求めている。

 東京商工リサーチによると、新型コロナ関連倒産は5月27日時点で累計186件に上った一方、デロイトトーマツベンチャーサポート(東京都千代田区)によると、創業初期のベンチャーのうち42%が半年以内の資金ショートを懸念しながら、56%が「要件に当てはまらない」ことを理由に、政府や自治体の支援策の申請を断念している。

 今回の2次補正予算案に盛り込まれた追加経済対策の効果も未知数だ。

 大阪や沖縄、東京などにホテルを展開するフェリーチェ(沖縄県那覇市)は、全13軒のうち東京都内にある5軒のホテル事業を3月に売却。事業の存続を図るが、月約7000万円の家賃負担が重くのしかかる。国からの家賃支援給付金も申請する予定だが、「補填(ほてん)は助かるがホテル業のような大規模事業者にとっては焼け石に水だ」と嘆く。

 支援策の運用にも疑問符がつく。大阪市内のダイニングバー経営者は「末端の店舗ではなく、例えば物件の大家に給付金を直接供給することで、店舗側の負担を減らすようなことはできないのか」と訴える。

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