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宣言解除後初の週末で東京の街に活気 「生活がかかっている」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で最後に解除された首都圏は30日、最初の週末を迎え、東京都内の繁華街は好天の中、久々に多くの人が行き交い、活気づいた。業種・施設別に休業要請を3段階で緩和する都の「ロードマップ」(行程表)にとらわれず、営業再開に踏み切る商業施設も相次いだ。感染の第2波を警戒しつつ、「新たな日常」がスタートを切った。

 「ずっと待っていた」

 「いつ投げられるかとずっと待っていた。やっぱり気持ちいいね」。東京都渋谷区のボウリング場「笹塚ボウル」。ピンを弾く音が鳴り響くと、調布市の青池金造さん(71)は顔をほころばせた。

 4月4日から臨時休業していたが、都の休業要請が緩和された今月26日から会員限定で営業を再開した。入場時の検温やボールの消毒のほか、1レーンおきに使用を限定するなど感染症対策を徹底している。30日からは一般客の利用も開始。事業責任者の井口直之さんは「普段ならフル稼働だが、まだ常連客らに限られている。遊ぶという空気にはなっていないのかもしれない」とこぼした。

 若者が集うJR渋谷駅近くでは、正午ごろになると徐々に人通りが増え、駅前のスクランブル交差点は混雑状態に。渋谷センター街の衣料品店などでは、入店前の検温や手指の消毒を呼びかける姿がみられた。

 友人とランチに訪れた世田谷区の会社員、中山茜さん(24)は「4月よりだいぶ人が増えてきた。第2波が来てしまうのでは」と不安を募らせた。

 東京・銀座の老舗百貨店「銀座三越」にも、再開を待ちわびた多くの買い物客が訪れた。感染症対策として、特に客と対面で接する機会の多い案内所のスタッフたちがマスクとフェースシールドを着け、さらに目の前にアクリル板も設置する厳重さだった。

 山下卓也店長は「安心・安全を最優先に新たな気持ちでお客さまを迎える」とコメントした。

 「生活がかかっている」

 都による休業要請緩和の行程表では、26日に第1段階の「ステップ1」となる博物館や動物園、ボウリング場も含む一部の屋内運動施設の緩和を実施。映画館や多くの商業施設など幅広い業種・施設が対象となる第2段階「ステップ2」への移行も、週明けの6月1日に決まった。

 新宿駅周辺では第2段階の業種に該当しながら、緩和を前に営業を再開していた施設も目立った。

 金券ショップでは、販売窓口をビニール製のカーテンで仕切るなど、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ手立てを講じていたが、店舗が狭いため店外に客があふれ出る光景も。ネイルサロンでも、客との間にアクリル板を設置。女性店長(33)は「生活がかかっている」と再開理由を説明した。

 同様に第2段階に該当する多摩地域のペットのトリミング(美容室)などを行う店舗は、感染症対策を徹底した上で27日から営業を再開。宣言解除の直後から営業再開を求める客の声が相次いでいたといい、男性経営者は「段階的な緩和といっても、どの業態がどの段階に該当するのか、いつ緩和されるのか、テレビや(都の)ホームページにかじりついていなければ分からない」と説明。「お客さんの要望が切迫している中で、判断を待つのは難しかった」と打ち明ける。

 逆に人々が外出したことで客足が減ったとみられるのは、新宿区のDVDレンタルショップ。男性店長(45)は「ステイホームを促すため」と営業を続けていたが、「緊急事態宣言の期間中と比べて来客数は落ち着いた」と語った。

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