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上場企業の赤字1兆円超 20年1~3月期 不振は15業種

 3月期決算の上場企業の2020年1~3月期最終損益合計が、1兆473億円の赤字に達したことが1日分かった。新型コロナウイルス感染拡大が直撃して全33業種のうち輸送用機器など15業種が赤字に沈み、ソフトバンクグループ(SBG)、日産自動車といった大手企業の経営不振が追い打ちを掛けた。昨年4月からの通期では最終利益合計が前期比27.2%減と悪化。先行きには不透明感が強く、経済活動再開への期待感が先行して株高が進む危うさを指摘する声もある。

 四半期の最終損益合計の赤字は、東日本大震災が起きた11年1~3月期以来。この際の赤字額は約5000億円で、リーマン・ショック後の09年1~3月期は約8兆5000億円だった。上場企業の業績低迷は地方経済にも波及するため、政府は中小企業を含めて資金繰り支援を強化している。

 東京証券取引所第1部の上場企業の業績をSMBC日興証券が集計した。5月末までに開示した1428社が対象で、全体の96.7%に上る。

 製造業の20年1~3月期は新型コロナに伴う工場停止などが響き、自動車を含む輸送用機器や鉄鋼、石油が赤字に陥り、電機や化学も大幅な減益。非製造業は移動制限や外出自粛が打撃となり、陸運、空運、情報通信、小売りなどで最終損益がマイナスだった。

 20年3月期の最終損益合計は黒字を確保したが、SBGが9615億円、日産自動車は6712億円の赤字で全体を押し下げた。日本製鉄や丸紅、JXTGホールディングスも巨額の赤字を計上した。1部企業全体では、第2次安倍政権発足以降で初となる2年連続の減益がほぼ確定した。

 21年3月期の業績予想は、事業環境の今後を見通すことが困難だとして、過半数の812社が未定とした。

 一方で、1日の日経平均株価は約3カ月ぶりに2万2000円台を回復した。日興の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「コロナ前の水準から考えると高い。今の状況でこの価格が付いていいのか」と、最近の株価上昇に不安をのぞかせた。

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