国内

インバウンド9割減の現実 人通り消え、端から端まで見通せる商店街

 国内客とのバランスを

 客足が途絶えた今、盛り返しに向け、商店街は知恵を絞り始めた。黒門市場では各店が協力し、地元客に食材などを宅配する仕組みづくりを進めている。

 営業形態を切り替え奮闘する飲食店も。天神橋筋商店街の「溶岩焼 市」は4月8日以降、夜間の営業時間を短縮したが、周辺の系列2店舗を休業させて弁当やそうざいの仕込みに使い、テークアウトの販売を始めている。

 高級和牛を提供する同店の客単価は夜間営業で1人あたり6千円程度。緊急事態宣言の解除で家族客らは増えつつあるが、売り上げの多くを担ってきたインバウンドだけでなく、企業による接待や宴会での利用も戻っていない。

 運営会社「ICHI」(大阪市)の水本貴之社長は「全店を休業させる選択肢もある中で何とか工夫をして耐えている。政府には新型コロナの感染が収束したときに、にぎわいを取り戻すための政策を期待している」と話す。

 商店街の苦境が当面続きそうな状況について、りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「インバウンドがいつ戻るのか見通しが立たない中、国内客に狙いを変えて生き残りを図らざるを得ない」と指摘。その上で、「中長期的に見れば人口減少が続く日本でインバウンド需要を無視する選択肢はない。今回のようなリスクを踏まえて国内客とインバウンドのバランスを取りながら、越境EC(電子商取引)を充実させるなどの対策が必要だ」としている。

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