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新型コロナが学生の心にダメージ 学費・就職に不安、1人の時間増にも

 新型コロナウイルス感染症による経済への影響が、大学生に深刻な精神的ダメージを与えていることが分かってきた。アルバイトを失い、親の収入減で学費や生活費に不安を抱えるのに加え、企業の新卒採用も減りそうで将来を描けないためだ。

 「世の中がこの先、どうなるか分からない不安を初めて感じた」。立教大3年の男子学生(20)は閉塞感を覚えたという。運動部に所属し、昨年の全日本大学選手権で準優勝したメンバーの一人だが、部活動は3月上旬から休止に。アルバイトはコンビニと衣料品チェーンを掛け持ちし、月6万~7万円を得ていたがゼロになった。神奈川県の実家に戻り、月4万円の奨学金で携帯電話代や参考書代などをやり繰りする。ひとり親の母は隔週勤務になり、収入が減った可能性があるが「心配になりそうで聞けない」。

 就職活動に向け、準備を始める時期だが情報収集もままならない。選手として実業団入りも考えられるが「そもそも企業に入ることが正しい選択なのか判断材料さえない」。

 これまでの人生では、自分が思い描いた夢に向かって努力することを当然のことと考え、目標達成に邁進(まいしん)してきた。

 しかし、外出自粛の影響で、1人でいる時間が増え、思うようにならない状況に強いストレスを感じるようになった。会員制交流サイト(SNS)や電話だけでは、「人との距離」が遠くなった感覚がする。これまでは先輩や友人らの経験談を聞いたり、相談したりして悩みを解消できていたことに気付いた。

 最近は1人でいると、これからどうなるのだろうと、答えの出ないことばかり考え過ぎてしまう。「漠然とした不安だけがあって、どうしたらいいのか分からなくなる」と打ち明けた。

 厚生労働省が無料通信アプリのLINE(ライン)と協力して5月に実施した大規模な全国アンケートの結果では、学生に鬱症状など精神的な落ち込みがみられることが判明した。

 調査は社会人、学生含め15歳以上の約1800万人が回答。体や精神の状況を尋ねたところ「身体・健康について心配している」と回答した割合は学生が18.9%と職業種別で最も低かった。

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