香港デモ1年、中国に屈せず 民主派は9月立法会選で過半数目指す
香港で政府への抗議活動が本格化して9日で1年がたった。「香港の混乱を図る反中勢力が秩序を破壊した」と批判する中国の習近平指導部は、処罰のため香港への国家安全法制導入を決定した。危機感を強める民主派は、米英などの対中圧力を期待して抵抗。9月の立法会(議会)選でも初の過半数を目指し、中国に屈しない民意を国際社会に示したい考えだ。
「林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は民意に逆らっていると7割が非難」。香港紙、蘋果日報は8日、抗議本格化から1年の特集で世論調査の結果をこう伝えた。1年前の6月9日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する「100万人デモ」が始まった。林鄭氏は改正案を撤回したが、催涙弾などによる強硬な取り締まりへの反発から警察とデモ隊の衝突が激化し、逮捕者はこれまでに8981人に上る。
新型コロナウイルス流行がほぼ収束した今年5月下旬、再び抗議が活発化しそうになったところで中国は突然、香港への国家安全法制導入を決めた。早ければ今月中にも関連法が制定される。
「法制導入を阻止したい。時間との闘いだ」と焦るのは、国際社会に中国への圧力強化を訴える民主派の黄之鋒氏。2014年の香港大規模民主化デモ「雨傘運動」の元リーダーで、現在は日米英や国連に助けを求める「国際戦線」を展開。今月8日、「1年前と状況は全然違う。短期間で劣勢を逆転できなくとも、力を尽くす」と表明した。
民主派にとって今後のヤマ場は9月の立法会選。昨年11月の区議会(地方議会)選に圧勝した勢いで、過半数獲得を目指す。ただ「国家安全法制に反対すれば、(民主派の)立候補を認めるべきではない」(親中派)との声も出ており、厳しい情勢だ。
民主派陣営の候補者調整を進める元立法会議員、区諾軒氏は「愛する香港を守るため頑張り、政府への反対が過半数ということを選挙結果で世界に示したい」と語った。(香港 共同)