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新型コロナ 退院基準の短縮、PCR検査での陰性確認不要の理由は

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 新型コロナウイルスの感染をめぐり、厚生労働省が退院基準の段階的な見直しを行っている。症状のある患者の退院基準は発症日から10日間に短縮され、必須だったPCR検査による陰性確認が不要になった。「再陽性」の事例も全国で多数報告される中、なぜか。(有年由貴子)

 感染性を喪失か

 厚労省の当初の退院基準では、熱が下がるなど症状が軽快してから48時間経過した後、間隔をあけて2回のPCR検査を実施。いずれも陰性の場合に退院できるとしていた。

 だがその後、段階的に見直しを行い、発症後一定期間が過ぎれば陰性確認が原則不要になり、今月12日に公表した最新基準では「発症後14日間経過」の条件を10日間に短縮。無症状患者についても、検体採取から10日間経過した場合は退院可能となった。世界保健機関(WHO)の基準改定などに準じて改めたという。

 PCR検査ではウイルス遺伝子の有無を調べており、たとえ「陽性」となってもウイルスそのものに感染性があるかどうかまでは分からない。退院基準が見直されたのは、世界中で研究が進み、発症7日程度でウイルス量や感染性が低下することなどが判明。10日でウイルス量がゼロになることが推計されたためだ。

 大阪大免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招聘(しょうへい)教授によると、新型コロナウイルスが感染性を失うメカニズムは明らかになっていない。ただ、研究結果から、「感染後期の患者から検出されるウイルスは残骸や構造的に不完全な状態であり、PCR検査で陽性となっても検出されているのは“死にかけウイルス”の遺伝子。すでに感染性を失っていると考えられる」と説明する。

 ウイルス、検体外に?

 一方、PCR検査でいったん陰性が確認されたものの退院後に再び陽性となる「再陽性」の事例が全国で多数報告され、大阪では「再々陽性」も確認された。原因について、厚労省は「実際にはよく分かっていない」としており、退院後に症状が出た場合には速やかに帰国者・接触者相談センターに連絡するよう求めている。

 専門家はどう見るか。遺伝子検査学が専門の宮地勇人東海大教授は、「技術的な誤差によるものと考えられる」と指摘。「検出できる限界値付近まで検体中のウイルス量が減ると、検体の取り方や処理・測定方法などにより判定にゆらぎが生じやすくなる」とする。

 宮坂氏は「ウイルスが一時的に検体採取部位以外に潜んでいる可能性も捨てきれない」と話す。体内のウイルス量などは個人差が大きく、症状が治まっても肺や血管などの細胞にウイルスの一部が潜んでいる可能性があるためだ。

 宮坂氏は「こうしたウイルスが感染性を保ったまま、何かの引き金で再び増殖し病気を再燃させる可能性も否定できない」とする。ただ、再陽性事例で症状のあるケースはまれで、「現時点では再燃についてはそこまで心配しなくていいだろう」とみている。

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