約半数がマイホーム売却を検討中… 深刻なローン苦の米国
こうした政府の救済措置に加え、メディアなどは、現在の住宅ローンを金利の低い別のローンに借り換えを推奨しています。住宅ローン市場に安定的に資金を供給するため、金融機関から住宅ローンの債権を買い取り、それを担保にした証券を発行する政府系金融機関「連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)」によると、コロナ禍の影響で、米での住宅ローンの金利は5月末、借り入れ期間が30年の固定金利で平均3・15%、15年間の固定金利で2・62%と史上最低水準に下落しました。
そのため、例えば4・5%の金利で20年間、住宅ローンに20万ドル(約2100万円)を支払う場合、利息は約10万3670ドル(約1100万円)になりますが、金利3%の住宅ローンに借り換えれば、利息分の支払いを日本円で約400万円、浮かせることができます(5月28日付と6月4日付の米FOXビジネスニュース電子版)。
それでも、前述の調査結果に話を戻すと、全体の71%は政府の救済措置の対象外になるのではと心配しており、57%は政府の救済措置自体に懐疑的だといいます。
この調査結果について、全米不動産協会(NAR)のヴィンス・マルタ会長は声明で「新型コロナの急速かつ前例のない影響により、多くの人々が財政的な危機に見舞われている」と前置きし「とりわけ、住宅ローンの支払いに苦労しているマイホームの所有者は、政府の救済策に頼り、マイホームを手放す状況に陥らないようにすべきである」と明言。さらに「協会としても会員同士の情報共有を含め、あらゆる措置を講じたい」と訴えました。
想像以上に大変な状況なのですが、この衝撃の調査結果が明らかになった直後、この調査結果を裏付けるかのような出来事が報道されたのです。
この調査結果が明らかになってから4日後の6月22日付で米CNNビジネス(電子版)などが報じたのですが、米では5月、住宅ローンが支払えず、滞納してしまった人が約430万人に達し、2011年以降で最高水準に達したというのです。
住宅ローンに関する米調査会社、ブラックナイトの調査で判明したのですが、3月末の200万人から急増しており、5月の滞納率は全体の8%に。そのうえ、深刻な滞納が過去2か月で50%以上も増加しており、63万1000人の住宅所有者が住宅ローンの支払いを90日以上、滞納していたといいます。
こうした滞納者が最終的に住宅ローンを返済できる可能性は低いうえ、米では現状、コロナ禍が収束する気配が全く見えないことから、金融機関や住宅業界が動向を注視しています。
一方、欧州では、米ほどではないにせよ、英の不動産市場が新型コロナの影響を大きく受けると見られています。