海外情勢

家政婦の信用度アプリ開発 商務省、個人情報の侵害懸念も

 中国商務省はこのほど、家政婦やベビーシッターの経歴、健康状態といった「信用度」を見ることができるスマートフォンのアプリを開発した。

 虐待などを防ぐ措置だが、当局による個人情報の収集につながる。政府が期待する外資の業界参入の足かせとなる可能性もある。

 家事代行サービスの従事者は全国に約3000万人いるが、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされた人が多い。

 商務省は会見で、アプリで消費者に安心感を提供し、利用を増やすと強調した。既に800万人分の個人情報と、派遣会社など1万社のデータを収集。5年以内の犯罪歴なども含まれる。利用者がスマホで家政婦らのQRコードを読み込むと情報が表示される仕組みだ。

 中国メディアによると、家政婦らによる乳児や高齢者の虐待が社会問題になっている。5月には江蘇省で67歳の家政婦が83歳の女性を殺害する事件が起きた。

 一方、中国メディアからもアプリにより「家政婦らの個人情報が盗まれ、プライバシーが侵害される懸念がある」との声が上がる。商務省は「厳格な内部管理で安全を保障する」と説明に追われた。

 商務省は「一人っ子政策」の終了と高齢化で、家事代行市場は大きく伸びるとアピールし、外国企業を歓迎するとした。情報管理は中国企業と同等に扱うという。(北京 共同)

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