今までは“お粗末な結果”だったが… 「UI」へのこだわりは本気度の裏返しか
不満をチャンスに
UIの改善には、利用者からの声を拾い上げ、問題点を正確に把握し、いち早く対応することが重要だ。あるニュースアプリでは、細かい修正を週1回以上繰り返しているという。
クリックの回数を減らす▽どこに情報があるのかを一目瞭然にする▽分かりやすい言葉を使う-。作業は地道そのものだ。修正したアプリは一部の利用者に使ってもらいテストをし、利用状況の変化をデータ化。良い結果が出たものを採用するといった手法がとられることが多い。
必ずしも大幅な改変が効果的ともかぎらない。ある格安旅行サービスでは、料金に「航空券代込み」と1行加えただけで、「安すぎて宿泊料だけで、航空券代は含まれていないのではないか」という利用者の不安が解消され、予約率が大きく伸びたという。
スマホ決済の「ペイペイ」は9月、決済額を入力すると、画面が自動的に180度回転し、お店の店員が金額を確認しやすくなるUIの改善を実施した。入力した金額を相手に確認するためにスマホの向きを変えなければならないという不満が寄せられたからだ。ペイペイの担当者は「消費者と加盟店、さまざまな立場の利用者からの意見がアイデアのきっかけになる」と話す。アプリの提供側からの一方的な改善では優れたUIは生まれない。
ペイペイなどは1つのアプリで、決済や金融、配車など、複数のサービスを提供する「スーパーアプリ」を目指している。多くのアプリで機能が拡充されていく中、UIの改善はIT各社にとって、ますます重要な位置づけとなっており、それを支援するさまざまな最先端技術も生まれている。カメラを使って利用者の視線を追跡し、画面のどこをどれくらいの時間見ていたか分析する「アイトラッキング」など、UIの優劣を可視化するサービスも出始めている。
決済アプリ 企業にも恩恵
アプリの利用実態分析を手掛けるフラーによると、利用するスマートフォンアプリの数はスマホの普及とともに増加している。同社の報告書「モバイルマーケット白書2019」は、スマホ決済など生活に密着したアプリが急拡大したことが大きな要因と指摘している。
利用者は令和元年末時点で、1人平均約100個のアプリをダウンロードしている。だが、日常的に使い続けているアプリはその3割強にとどまっている。
最も多くダウンロードされているのが検索エンジンや電卓などの便利機能系アプリで約20個だが、利用回数は限定的なものも多い。一方で、スマホ決済や金融機関のアプリのダウンロード数は平均2個程度と少ないが利用頻度は高く、企業側にとっては利用者のデータを多く収集できる。(高木克聡)