海外情勢

文大統領が施政方針演説で南北対話訴え「北朝鮮と生命・安全共同体に」

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、国会で来年度予算案に関する施政方針演説を行い、北朝鮮に対し、「平和は南北双方のための共存の道だ」と強調し、中断した対話の再開を改めて呼び掛けた。

 文氏は、新型コロナウイルスや北朝鮮を襲った相次ぐ水害を念頭に、「感染病や災害を克服するため、南と北が生命・安全共同体として共存する道を探すことを望む」と主張し、「朝鮮半島の非核化と恒久的な平和のため、たゆまなく対話を模索する」と訴えた。

 9月に起きた北朝鮮による韓国人船員射殺事件については「事実を明らかにし、政府の責任を尽くす」としながらも「平和体制の切実さを再認識する契機となった」とも指摘した。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は射殺事件について謝罪し、10日の軍事パレードでの演説で「北と南が手をつなぐ日が来るのを願う」と述べたものの、対話再開に向けた具体的な動きはうかがえない。

 文氏の演説は、新型コロナ対応で打撃を受けた経済の回復に力点が置かれ、2050年を目標に温室効果ガス排出ゼロを目指すと表明した。

 文政権は昨年の日本による半導体素材の輸出管理厳格化を受けて素材や生産設備の国産化支援に力を入れているが、日本に関する言及は「支援を一層拡大し、日本を越えて世界に展開していく」と述べた部分にとどまった。

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