国内
3次補正予算を20兆円超で調整 ワクチン接種費用など確保
菅義偉首相が編成を指示した追加経済対策の裏付けとなる令和2年度第3次補正予算案の規模について、政府・与党が20兆円超とする方向で検討していることが23日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大への対応やデジタル化の推進、温室効果ガス削減の研究開発を加速するための基金創設などが盛り込まれる。防災・減災、国土強靱化などの費用も膨らみ、当初見込んだ10兆円超を大きく上回る見通しだ。
27日にも自民党が追加経済対策のメニューをまとめる。政府はこれを踏まえ、急速に広がるコロナ第3波で新たな対策が必要かも見極めた上で、12月上旬にも3次補正の規模を固める。
新型コロナ対応では、臨時国会で審議中の予防接種法改正案に盛り込まれた国民へのワクチン接種関連の費用を確保する。休業手当の一部を国が補う雇用調整助成金の特例措置の延長に伴う必要経費も計上する。
デジタル化の推進では、2030年代に本格化する次世代通信規格「6G」の研究開発に充てる新たな基金に1千億円程度を盛り込む。「50年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ」実現につながる、水素や次世代蓄電池など最先端技術を研究する企業や研究機関向けの基金も新設する方向だ。
政権が力を入れる不妊治療の助成拡充では、夫婦の合計所得を730万円未満とする現行の所得制限撤廃や、現在は1回当たり最大30万円の助成額を40万円に拡充する予算を確保する。
7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率21・4%増と大幅なプラス成長に転換したが、戦後最悪の落ち込みを記録した4~6月期(28・8%減)からの回復は道半ばだ。日本経済をコロナ前の成長軌道に戻すため、大規模な財政出動による景気下支えと、コロナ後を見据えた経済構造の変革が必要と判断した。