真山仁の穿った眼

株価沸騰の怪しさ

真山仁
真山仁

巨大機関投資家の思惑は…

 それに、トランプが大統領を辞めることを歓迎している日本人が多いが、民主党政権は、従来から日本には厳しいことで知られている。

 また、連日、国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が、過去最高記録を更新している。これだけマイナス要因が重なれば株価は下がるはずなのだ。にもかかわらず、反比例して株価ばかりが上がる異常性には、もっと警戒心を持った方が良くないだろうか。

 無論、コロナ禍だから、日銀がますます株を購入して下支えしているという背景はある。だが、その程度の高騰ではない。

 私のような天(あま)の邪鬼(じゃく)な人間には、「これは、コロナ禍でしぼんでしまって今年の利益を出せない国内外の機関投資家やヘッジファンドが、莫大なカネを投下し、無理矢理株価を引き上げ、利益を出そうとしているに違いない」と思えて仕方がない。

 それが事実なら、近い将来、巨大機関投資家は皆、利益出しを行うために、株を売却し、市場の底が抜けて、一転、大暴落する可能性があるのではないだろうか。

 株価とは、未来への期待値だという。

 しかし、今の日本のどこに、株価を爆発的に跳ね上げるだけの期待の要素があるのだろうか。

 好事魔多し、ということわざを引くまでもなく、こういう時は、用心、用心。

昭和37年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科を卒業後、新聞記者とフリーライターを経て、企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』で小説家デビュー。同シリーズのほか、日本を国家破綻から救うために壮大なミッションに取り組む政治家や官僚たちを描いた『オペレーションZ』、東日本大震災後に混乱する日本の政治を描いた『コラプティオ』や、最先端の再生医療につきまとう倫理問題を取り上げた『神域』など骨太の社会派小説を数多く発表している。

【真山仁の穿った眼】はこれまで小説を通じて社会への提言を続けてきた真山仁さんが軽快な筆致でつづるコラムです。毎回さまざまな問題に斬り込み、今を生き抜くヒントを紹介します。アーカイブはこちら

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