矢板明夫の中国点描

日本食品禁輸問題 蔡政権のジレンマ

 逆に言えば、食品禁輸問題をクリアすれば、台湾はTPP加盟問題で日本の全面的な協力が得られる。日本はTPP加盟国の中で、最も影響力のある国だ。

 一方、中国の習近平国家主席はすでにTPP加盟への意欲を表明しており、急がなければ、中国がTPPに先に加盟してしまい、ほかの国際組織と同様、台湾の加盟が阻止される可能性がある。

 しかし、蔡政権は今のところ、日本の食品解禁問題に関して動きが鈍い。2日、民進党の内部会議に出席した蔡氏はこの問題について「まだ議論していない。先に解決しなければならないことがたくさんある」と話した。

 蔡政権は8月、添加物ラクトパミンが入った餌で飼育された米国産豚肉の輸入解禁を決めたことで、野党から猛反発を受けた。11月の立法院(国会)本会議では、野党議員がブタの内臓を行政院長に投げつけるなど大混乱が起きている。

 豚肉問題もまだ解決していないのに、日本食品を解禁すれば、野党は「食品の安全問題」で蔡政権への攻撃を一層強め、支持率が急落することを政権側は懸念しているようだ。

 台湾メディアは「日本側の希望は、東日本大震災から10年となる来年3月11日までに問題を解決することだ」と伝えている。これに対し、民進党関係者は「日米中とも複雑に絡み合っている問題で、簡単に決断できない。必ず解決するから、もう少し待ってほしい」と話している。(台北支局長)

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