犬猫飼育事業の新基準 大阪府が来年施行前に適合調査へ
昨年成立した改正動物愛護法に基づき、ペット業者が扱う犬猫の飼育数や管理方法の基準を新たに定めた環境省令の施行に先立ち、大阪府が来年1月以降、府内2千件超の全事業者を対象にアンケートを行う方針を固めたことが10日、関係者への取材で分かった。都道府県レベルの先行調査は珍しく、府は事前に新基準を周知し、施行直前の違法な殺処分などを防ぎたいとしている。
環境省によると、新基準は諮問機関の答申を経て、省令として来年2月までに公布、6月に施行される予定だ。
省令は劣悪な飼育環境の解消が目的で、対象となるのは、犬猫の繁殖業者や販売業者。これまで飼育数の明確な基準はなかったが、新基準では従業員1人あたりの数に上限を設け、繁殖業者は犬15匹、猫25匹、販売業者は犬20匹、猫30匹とする。
ケージの大きさも運動スペースを別にする場合は、縦と横をそれぞれ体長の2倍、1・5倍とし、高さは犬が体高の2倍、猫は「体高の3倍で複数の棚を設ける」としている。
客観的な基準の導入により、都道府県は悪質業者に対する指導や動物取扱業の登録取り消しなどの処分をしやすくなる。業者が新基準に違反した場合は罰金が科される場合もある。
一方、業者にとっては飼育数に応じた従業員の確保やケージの用意といった新たな投資が生じることが想定される。
そのため府は年明けから適正な管理を促すために、業者に新基準を通知し、基準の適合状況に関する独自のアンケートも実施。多数飼育する業者については現状把握のため、立ち入り調査も検討している。府担当者は「新基準によって人と動物が共生できる社会の実現を目指す」としている。
環境省によると、ペットショップなど動物取扱業者の件数は増加傾向にあり、昨年4月時点の事業所数は4万5934件と前年同月比で1243件増えた。
一方、今年3月に警視庁が、劣悪な施設で多数の犬を飼育し虐待したとする動物愛護法違反の疑いで、都内のブリーダーを逮捕するなど不適切な管理は社会問題となっている。府の担当者は「早めに基準を周知して悪質な業者にも適正な管理を促し、施行直前に犬や猫が大量に捨てられる事態を避けたい」としている。
これに対し、業界団体が加盟する「犬猫適正飼養推進協議会」(東京)は10月、ホームページで「基準が施行されれば全国で13万頭超の犬や猫が現在の施設にいられなくなり、行き場を失う」と懸念を表明。受け入れ先確保のほか、施設の改修や従業員の雇用に関する支援などを国に求めている。