コロナに打ち勝てなかったら…
結果的に、東京五輪は、東日本大震災から10年という節目に開会することになった(あくまでも予定だが)が、本当に被災地は「復興した!」と世界に胸が張れるのだろうか。もし、現在の状況を見て、「復興した」と考えているのであれば、おそらくは、多くの被災者と総理の認識に大きなズレがあると言わざるを得ない。
たかだか数行、五輪について言及しただけで、これほどまでに、現政権の迷走ぶりが象徴されているのを見ると、怒りが湧くよりも、気の毒に思えてしまう。
だが、あの発言を穿った眼で見たら、こんな意味にも取れる。
“人類が新型コロナウイルスに打ち勝てなかったら、五輪はやらないよ――”
だとすると、菅総理らしい深謀遠慮と言うべきか。
【真山仁の穿った眼】はこれまで小説を通じて社会への提言を続けてきた真山仁さんが軽快な筆致でつづるコラムです。毎回さまざまな問題に斬り込み、今を生き抜くヒントを紹介します。アーカイブはこちら