海外情勢

露全土デモで5000人超拘束、過去10年で最多 反体制派指導者の処遇2日に決定へ

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏の釈放を求めて1月31日に露全土で行われた2回目のデモで、露人権監視団体は同日夜までに参加者計5100人超が拘束されたと発表した。1回目のデモで4000人超を拘束したプーチン政権は、欧米諸国からの非難も意に介さずに国内の締め付けを強化する姿勢を明確にした。今月2日には同氏の処遇を決める審理が予定されており、同氏が投獄された場合、露政権とデモ側および欧米側との対立がさらに強まるのは確実な情勢だ。

 デモは同氏が主宰する「汚職との戦い基金」が呼び掛け、政権側に無許可で行われた。全体の参加者数は現時点で不明。露人権監視団体「OVDインフォ」によると、拘束は80以上の都市で行われ、首都モスクワで約1650人、第2の都市サンクトペテルブルクで約1160人が拘束された。シベリアのクラスノヤルスク▽西部ニジニノブゴロド▽極東ウラジオストク-などでもそれぞれ100~200人が拘束された。

 拘束者数は1月23日のデモを超え、2011年のOVDインフォの活動開始以来、最多を記録した。

 23日のデモでの大量拘束に対し、バイデン米政権や欧州連合(EU)は人権侵害だとしてロシアを批判。しかしロシアは「内政干渉だ」と一蹴した。プーチン大統領も25日、「国民には意見表明の権利があるが、法の枠内でだ」とし、違法な無許可デモの摘発は正当だとの認識を示していた。

 プーチン政権批判の急先鋒で昨年夏に毒殺未遂事件に遭ったナワリヌイ氏は1月17日、治療先のドイツから帰国した直後に「執行猶予中の出頭義務違反」を理由に拘束された。裁判所は2月2日、同氏の執行猶予を取り消して実刑に切り替えるかを判断する予定だ。

 ロシアの裁判所は政権の統制下にあるとされ、デモ側も「裁判所が公正かは疑わしい」とし、デモで圧力をかけるべきだと訴えてきた。露メディアからも「政権側はこれ以上の国際的孤立や社会との断絶を避けるため、ナワリヌイ氏の投獄を見送る可能性もある」との見方も出ている。この意味で、同氏の処遇をめぐる2日の審理は今後の露政権の方針を占う「試金石」になると注目されている。

 しかし国内外からの反発の強まりにもかかわらず、露政権がデモに譲歩しない姿勢を示したことで、ナワリヌイ氏に厳しい判断が下されるとの観測はいっそう強まった。同氏は巨額の詐欺罪でも訴追されており、今後、長期にわたり投獄される可能性がある。

 プーチン氏の支持率は過去最低水準の6割前後まで低下し、今年秋に予定される露下院選では与党「統一ロシア」の議席減も予想されている。こうした中、露政権側は昨年末、デモや反政権色の強いインターネット上の言論の規制を強化する一連の法改正を実施した。融和よりも圧力を重視する露政権の傾向は今後もさらに強まる見通しだ。

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