旅行会社は「手心」期待か
ある旅行会社は、「バーター」で恩恵を受けていると認めた。
実は、中国では、海外旅行が全面自由化されたわけではない。パスポートが発行されない中国人も少なくないと言われる。各旅行会社は、許可人数を中国政府からもらい、その人数の上限に達するまで販売できるという制度になっている。
たとえば、旅行会社Aは、人気の日本1000人、タイ800人の年間許可が与えられているとする。この許可人数は、旅行会社ごとに異なる。もし、手配したツアー客が日本で脱走したり罪を犯したりすると、ペナルティで旅行会社Aへの許可人数が減らされる。
各旅行会社は、稼げる人気国の許可人数を1人でも多く獲得したい。そこで北朝鮮だ。どうやら北朝鮮ツアーを手配すると、この許可人数へ手心が加えられるようなのだ。
中国政府へ忖度して北朝鮮ツアーへ積極的に取り組めば、バーターとして、日本やヨーロッパなどの人気国の許可人数を増やしてもらえるようになっているそうだ。
これなら金額など証拠は残らない。「中国政府が北朝鮮旅行を促進しているのではない。あくまで、中国人が自由意志で北朝鮮への旅行を選んでいる」という中国政府の大義名分が成り立つようになっている。
長期的な視野を持つ関係者も
北朝鮮ツアーを続ける理由として、他にももっと長期的な視野を持つ中国人関係者もいる。
将来、中国の改革開放のように市場が開放されれば、ホテルやショップなどを先んじてつくり、先行者利益を得たいと考える人たちだ。
現在、中国で需要が高まり、近い将来確実に大きなニーズとなる介護施設を北朝鮮につくり、養生や治療も兼ねた高齢者向けのロングステイツアーなど、日本では想像もつかない構想を抱く中国人経営者もいる。
将来、タイミングよく北朝鮮へ進出するためには、北朝鮮と良好な関係を維持することが重要となる。「それも念頭に北朝鮮ツアーを続けている」とある旅行会社は明かす。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))