海外情勢

議論呼ぶアンコール観光化 地元歓迎も政府など反対

 カンボジアの世界遺産アンコール遺跡群をめぐり、観光開発の在り方が議論になっている。近くで大規模なリゾート施設整備構想が持ち上がったが、遺跡群の価値が損なわれるとして政府機関が反対を表明。一方で、遺跡群観光は新型コロナウイルス禍以前から頭打ちとなっており、地元は文化保護と経済発展の調和を模索している。

 アンコール遺跡群はアンコール王朝(9~15世紀)期の都市の跡で、北西部シエムレアプにある。石造の寺院遺跡アンコールワットが特に広く知られ、国旗にも描かれている。カンボジア旅行の目玉として外国人観光客が多く訪れてきた。

 整備構想を発表したのは、香港で上場するカジノ運営会社「ナガコープ」。同社が昨年11月に示した計画では、遺跡群の保護地域から500メートルの場所に土地75ヘクタールを50年契約で借り受け、ホテルやプール、仮想現実(VR)などの技術を駆使した室内型の娯楽施設を造成。2025年までに3億5000万ドル(約377億7900万円)を投じる見通しだった。

 しかし、世界遺産を登録・保護する国連教育科学文化機関(ユネスコ)は今年2月、施設が遺跡群に近過ぎるなどとして懸念を表明。カンボジア文化芸術省は3月、現行計画は容認できないとの見解を発表した。ナガコープ側は構想を再検討しているとみられる。

 地元には、今回の構想を評価する声もあった。新型コロナが世界に拡大する前の19年、遺跡群を訪問した外国人は約220万人で、前年比15%の大幅減だったことが背景にある。ベトナムなど近隣国と観光客獲得をめぐる競争が激化したことなどが要因だった。

 「このままだと、他の行楽地に客をどんどん取られる」。地元ホテル関係者の危機感は以前から強かった。景観保護と経済振興を両立させるには、どんな開発が望ましいのか。「コロナ後」も見据えながら、議論は続きそうだ。(プノンペン 共同)

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