海外情勢

韓国原発に早くも“大敵”被害 海洋生物が急増し3週間で2度停止

 クラゲに似た海洋生物のサルパは一般には全長10センチメートルに満たない小さな生物だ。しかし、この小さな生物は韓国の原子力発電事業にとって大敵であることが判明している。

 韓国水力原子力が運営するハヌル原子力発電所の原子炉2基(各出力95万キロワット)は6日、運転停止を余儀なくされた。停止の原因は2基を冷却するための給水システム内でサルパが繁殖したためだ。両基は3月下旬にも約1週間にわたり停止しており、過去3週間以内で2度の停止となる。

 停止の長期化に伴いコストがかさむ恐れがある。ブルームバーグNEF(BNEF)のアナリスト、オリンペ・マッテイ氏によると、最初の1週間の原子炉停止によって失われた電力を液化天然ガス(LNG)による発電で相殺する場合、6万トンのLNGが必要となり、約2180万ドル(約24億円)の費用がかかるという。

 韓国には運転中の原発が24基あり、合計発電能力は2300万キロワットを超える。

 サルパは個体同士がつながり数メートルもの鎖状をなすことがあり、その様は海を漂うクリスタルのシャンデリアだと評される。韓国海洋科学技術院のユ・オクファン副所長は「通常ならサルパの個体数は6月に増加するが、今年は例年より早い暖流の流入で3月に前倒しされたようだ」と指摘する。

 韓国国立水産科学院のユン・ソクヒョン研究員は「サルパの急増が気候の変化によるものか、その他の要因かはまだ分からない。今後10年間で継続的な増加がみられない限り、一時的な現象と考えるべきだろう」と話す。

 一方、海洋環境研究・情報研究室のチェ・ジンホ所長によると、近年はサルパの数が徐々に増加しているという。「足元の傾向を考えると、今後数年のうちに原子炉の停止が増える可能性がある」と述べている。

 海洋生物が給水システムを詰まらせ、原発が停止を余儀なくされたのは韓国だけにとどまらない。

 欧州最大級の電力会社フランス電力は1月、フランス北海岸のパリュエル原子力発電所でポンプ場の濾過(ろか)ドラムに魚が詰まったため、4基の原子炉全てを運転停止した。(ブルームバーグ Heesu Lee、Aaron Clark)

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