海外情勢

ミャンマー、政変で急減速 景気暗転…マイナス20%成長予測も

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンで抗議運動の中心となっている地域近くで喫茶店を運営するソーさん(43)は店を続けるべきかどうか迷っている。

 当局から逃れようとするデモ参加者が店に入ってくれば、追いかけてきた軍や警察に自分も撃たれたり、逮捕されたり、財産が破壊されたりするリスクがある。だが、そうした人々を受け入れなければ、フェイスブックで反発を食らい、店がボイコットされるかもしれない。

 「今は店を毎日開けることはできないが、決められた家賃や税金、人件費を払わなければならない。危機が続けば、ヤンゴンの多くの喫茶店オーナーはいつまで生き残れるか分からない」とソーさんは語る。

 ソーさんは自身の安全上の懸念からファーストネームだけを伝えた。

 2月1日の軍事クーデター後、急降下しているとみられる景気の矢面に立たされるのはソーさんのような小規模事業主だ。少なくとも614人の民間人が殺害され、欧米諸国が新たな制裁を科す中で、外国人投資家は撤退。一方、「市民の不服従運動」を展開する反対派は、景気を悪化させて軍から財源を奪おうとしている。

 トラック運転手のストで貨物コンテナが港で立ち往生し、船会社は運航を停止。現金引き出し規制に伴い、企業は従業員への支払いに苦慮している。軍のインターネットアクセス制限で顧客への連絡が困難な状態だ。また、デモ隊と連携する公務員数千人が勤務を拒否し、公共サービスは限定的にとどまる。

 こうした状況が重なり、民主化移行に伴う投資家の参入で躍進したミャンマー経済は急速に減速している。世界銀行は過去10年間で平均6%余りの成長を遂げた同国経済について、2021年は10%のマイナス成長と予測。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による落ち込みから回復するアジア諸国で最悪とみられている。

 一部アナリストは、事態がさらに深刻とみている。フィッチ・ソリューションズは、20~21年度について「控えめに見て」20%のマイナス成長と予測。「ミャンマー経済に関し、除外できる最悪のシナリオはない」とフィッチは指摘した。(ブルームバーグ Ruth Pollard)

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