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「電動キックボード」普及に向け議論加速 自民党MaaS議連PTが関係省庁に提言

SankeiBiz編集部
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 ICT(情報通信技術)を活用して多様な交通手段を一体的に提供する「MaaS(マース)」を推進する自民党有志議員による「MaaS推進議員連盟マイクロモビリティプロジェクトチーム」(PT)は18日、都内で開かれた会合で、電動キックボードの普及に向けた規制緩和について関係省庁に検討を求める提言を発表した。電動キックボードが該当する「小型低速車」の最高速度の引き上げや、法令違反の運転に対する取り締まり強化などを求めている。(電動キックボードの体験記事はこちら→話題の「電動キックボード」を記者が体験! 日本の交通環境への適応がカギ

 普及に向けて議論進む

 電動キックボードは近年、欧米を中心に手軽なモビリティ(乗り物)として急速に普及。日本でも、最寄り駅やバス停などの交通結節点から自宅までの最終区間を指す「ラストワンマイル」を担う交通手段の一つとして注目されている。

 ただ国内では、電動キックボードは道路交通法など法令上「原動機付自転車」(原付バイク)に位置付けられているため、運転免許証の携帯やヘルメットの着用が必要で、公道での走行は車道に限定している。

 小型で電動走行する新たなモビリティーに関する警察庁の有識者検討会は4月、新しい車両区分の方向性を示す中間報告をまとめ、(1)歩道通行車(時速6キロ程度まで)、(2)小型低速車 (時速15キロまで)、(3)既存の原動機付自転車等 (時速15キロ以上)─と区分した。

 電動キックボードは小型低速車に区分され、「マイクロモビリティ推進協議会」を構成する電動キックボード事業者4社が4月23日から開始したシェアリングサービスの実証実験は、公道走行時にヘルメット着用を任意とする経済産業省の特例制度を適用し、最高時速を15キロに抑えて実施されている。

 MaaS議連PTはこの日の会合で、電動キックボードなど新たなモビリティの普及を目指す上で検討すべき課題として、最高速度などに応じた新たな車両区分の新設や、公道での走行場所、ヘルメット着用といった運転者の要件などの見直しを挙げた。また、歩行者との「安全な共存」を確保しつつ、小型低速車の上限を時速20キロに見直すことや、保安基準の見直しなどについても検討すべきとした。

 PTは経産省や国土交通省、警察庁など関係省庁に対し、年度内に関連法案を提出するよう求めている。

 会合に出席したマイクロモビリティ推進協議会の岡井大輝代表(Luup社長兼CEO)は、電動キックボード実証実験の利用者から「車道での走行速度が時速15キロでは自動車との速度の差が大きく、同じ車道を走行することに不安を感じるので走行可能速度を上げてほしい」という声が出ていると指摘。「安全面の観点から実証実験でも歩道を走らせてほしい」といった要望が寄せられていると明らかにした。実証実験は事業者4社合計で13日までに延べ7207人が利用し、総走行距離は4万1714キロに達したという。

 PTの座長を務める山際大志郎衆院議員は「この分野は本当に日進月歩。その中で政治、行政は一歩二歩と遅れがちだが、この分野に関してはものすごいスピードでルールを作れる方向に進んでいる」と強調。「安全と利便性が両立する形で日本にふさわしいルールを作り、新しいモビリティを利活用できるように進めていきたい」と述べた。

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