真山仁の穿った眼

頑張れ経産省! 官僚たちは現場を飛び回り「国益の守り神」たれ

真山仁
真山仁

 日本が生き残るための政策を

 2001年に中央省庁再編で通産省から経産省に改組・改称されて以降、国益を守ったり、増やしたりするための動きと実績が、なさ過ぎだ。

 例えば、一時盛んに行っていた原発プラント輸出競争では、世界随一の原発メーカーを複数有しているにもかかわらず、官民一体となって参戦する他国を相手に、連戦連敗が続いた。

 また、米国ではGAFAと呼ばれるIT企業が、時価総額の世界のトップを争うほどに成長したが、日本でそうした企業は、皆無に近い。

 こうした新興企業は、ベンチャー企業がたくさん起業される中で、凄まじい生存競争を生き抜いて誕生する。米国政府は、その成長をさまざまに支援するのはもちろん、起業する環境整備についても積極的に取り組んでいる。

 一方で、たとえ100年続いた名門企業だとしても、経営危機に陥り寿命が尽きそうになったら、支援などしない。なぜなら、大手がフィールドから消えることで、新しい芽が育ちやすくなるからだ。

 翻って日本の政府、経産省はどうだろうか。名門というだけで、公的資金(つまり税金)を惜しみなく投入し、破綻しそうな企業を救うのだが、再生にはなかなか至らない。あるいは日産のように、フランス政府がルノーとの統合を進めようと前のめりになっても、今度は「自由経済なので」と、支援の手を差し伸べない。

 日本でも、GAFAを育てようとかけ声だけは発するが、現状を見れば、ベンチャー企業が多数育つ環境があるとは思えない。

 つまり、国益の守り神としては、まったく役に立っていないのではないか。そんな誹(そし)りを撥(は)ねのけるような政策が生まれない以上、「不要」と呼ばれても致し方ない。

 国が一丸となって経済を盛り上げていく旗振り役として、経産省は常に、未来を見据え、日本が生き残るための大胆かつ力強い政策を連発してもらわないと困る。

 そのためには、経産省の官僚たちがもっと国内外の現場を飛び回り、一次情報を自ら手に入れ、何が必要で何が不要かを、感じ取らなければならない。さもないと、日本は確実に没落する。

 頑張れ! 経産省!!

 内向きで保守的な発想を捨てて、世界と戦う武器を手に入れるんだ!!!

昭和37年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科を卒業後、新聞記者とフリーライターを経て、企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』で小説家デビュー。同シリーズのほか、日本を国家破綻から救うために壮大なミッションに取り組む政治家や官僚たちを描いた『オペレーションZ』、東日本大震災後に混乱する日本の政治を描いた『コラプティオ』や、最先端の再生医療につきまとう倫理問題を取り上げた『神域』、「震災三部作」の完結編となる『それでも、陽は昇る』など骨太の社会派小説を数多く発表している。初の本格的ノンフィクション『ロッキード』を上梓。最新作は、東南アジアの軍事政権下の国で「民主主義は、人を幸せにできるか」を問う長編小説『プリンス』。

【真山仁の穿った眼】はこれまで小説を通じて社会への提言を続けてきた真山仁さんが軽快な筆致でつづるコラムです。毎回さまざまな問題に斬り込み、今を生き抜くヒントを紹介します。アーカイブはこちらから。真山仁さんのオウンドメディア「真山メディア-EAGLE's ANGLE, BEE's ANGLE-」も随時更新中です。

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