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卓球日本ペア金に衝撃、中国メディア「屈辱の一日」報道

 東京五輪の卓球混合ダブルスで水谷隼(みずたに・じゅん)(32)、伊藤美誠(いとう・みま)(20)組が中国ペアを破り、日本卓球界初の金メダルを獲得したことに、この競技を独壇場としてきた中国国内で衝撃が走っている。中国メディアが「屈辱の一日」などと報じたほか、中国ペアに対する厳しい批判や、日本ペアの反則疑惑を指摘する声まで上がっている。

 正式種目となった1988年ソウル五輪以降、卓球競技32個の金メダルのうち28個を獲得してきた中国。絶対王者といえる立場にありながら、今大会では、国際大会で中国トップ選手を相次いで破った伊藤を強く警戒していた。共産党機関紙、人民日報系の環球時報はかつて伊藤のことを指して、「『大魔王』が現れた」と報道。中国卓球界は“伊藤対策”として戦術や心構えを変える必要があると訴えていた。

 中国国営新華社通信によると、対戦した中国の許●(=日へんに斤)(キョ・キン)(31)、劉詩●(=雨かんむりに文の旧字体)(リュウ・シブン)(30)のペアは「相手を圧倒し、小競り合いを避ける」戦術で決勝に臨んだと報道。だが、最終セットで「水谷・伊藤の積極的な攻撃が効くことが多く、2人の強さでは五輪の記録を塗り替えることができなかった」などと報じた。

 試合後、取材に応じた許●(=日へんに斤)は、敗北は自らの責任だとし、劉詩●(=雨かんむりに文の旧字体)は「結果を受け入れることができない」とした上で、「皆さんに申し訳ない」と涙ながらに謝罪の言葉を繰り返した。

 この敗北に対し、中国メディアは「屈辱の一日」など容赦なく批判。一方で、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」などでは「勝利が全てではない」「私たちの誇りだ」などといった温かいコメントがあふれ、健闘を称える投稿が多かった。

 Q&Aサイト「知乎(チーフー)」では、卓球について「これまで中国は世界で無敵であり、1位以外あり得ないと思っていた」とした上で、「そのメダル獲得には選手の並外れた努力があり、巨大なプレッシャーに打ち勝つ必要がある」と選手への理解を求めた。

 さらに、微博などでは、試合中、日本ペアが「新型コロナウイルス対策のルールを違反した」などと指摘する声も上がる。伊藤と水谷が、試合中に禁止されている手で台を触る様子や、球に息を吹きかける姿が複数回あったと、写真などを投稿して批判する声も相次いだ。(王美慧)

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