海外情勢

東京五輪、「スポーツの祭典」で国際政治に揺れた選手たち

 権力を不正奪取した政権の下で代表となる是非で割れた選手。政治的に対立する国の代表との対戦を避けた選手。東京五輪では国際政治を反映して揺れたアスリートらの姿もあった。

 2月に国軍がクーデターで実権を握ったミャンマーでは、国の代表として五輪出場する選手への反発が強まった。出場することが「国軍に服従している」と見なされたためだ。

 競泳の有力代表候補だったウィン・テット・ウー選手は、職場を放棄してクーデターへの抗議を示す「不服従運動」への連帯を示して出場を辞退。「(出場すれば)国軍による政権を認めることになる」と自らの意志を語った。

 最終的に参加したミャンマー人選手は2人。その1人でバドミントン女子シングルスに出場したテ・ター・トゥーザー選手(22)は開幕前、「私はすべてのミャンマー人を代表している」と自身のフェイスブック(FB)につづった。だが、FBには「ミャンマー人を代表していない」「あなたの成功は国軍の成功となる」との書き込みが殺到した。

 同選手は25日の試合後、「バドミントンの五輪代表となり誇りに思う」と述べつつも、政治的な質問は「答えられない」と避け、複雑な心境をのぞかせた。

 東京五輪の柔道男子73キロ級に出場予定だったアルジェリア代表、フェティ・ヌーリン選手は先週、大会を棄権すると表明した。26日に予定されていたスーダンの選手との初戦に勝った場合、2回戦でイスラエルの代表、トハー・ブトブル選手と対戦することになっていたためだ。

 アラブ諸国は長年、パレスチナ問題でイスラエルと対立してきた。一部の国は昨年、国交正常化に合意するなど関係改善を進めるが、イスラエルへの反発は根強い。

 英BBC放送(電子版)によると、ヌーリン選手はパレスチナを支援する政治的立場から「(イスラエルと)戦うことは不可能だ」と述べた。同選手のコーチは「(対戦を決める)抽選で運がなかった。正しい判断と考えている」とした。

 ヌーリン選手は2019年の世界選手権東京大会でも、イスラエルの選手との対戦を避けるために棄権。国際大会では過去にもイランやエジプトなどの選手がイスラエルの選手との対戦を拒否したことがあった。(シンガポール 森浩、カイロ 佐藤貴生)

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