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「インド太平洋戦略はゴミ山に捨てるべき」 中国が激しい言葉で日本を中傷する本当の理由

 ■「日本の主張は、完璧な誤りで、無責任」と批判

 「日本はわが国の国防や軍事活動を不当に批判し、一方的に騒ぎ立てている。断固、抗議する」

 「台湾情勢の安定が『日本の安全保障に重要』というのは、完璧な誤りで、無責任だ」

 「台湾は中国の一部。中国は必ず台湾を統合する」

 「台湾問題は中国の内政に属し、外国勢力の介入は許さない」

 7月13日に日本が公表した「防衛白書」(2021年版)に対する中国政府(国防部や外務省)の抗議である。どの抗議も非常に激しい表現だ。中国の習近平(シー・チンピン)政権はどうしてここまで強く反発するのだろうか。

 ■米中対立に焦点を当てた特集ページを新設

 公表された防衛白書はこれまでと違い、激化するアメリカと中国の対立に焦点を当てた特集ページが新たに設けられた。台湾海峡や東シナ海、南シナ海での軍事的緊張、香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権問題などを大きく取り上げ、中国政府を厳しく批判している。安全保障上の悪化の理由を中国の国力が増したことによる「パワーバランスの変化」とも指摘している。

 とくに台湾情勢については、防衛白書として初めて「日本の安全保障はもとより国際社会の安定にとって重要」との見解を示した。台湾の周辺空海域で戦闘機や軍艦を使った中国軍の行動が活発化し、これに対してアメリカが戦闘機を台湾に売却する方針を示すなど「台湾支援を強化している」と言及し、「日本も一層緊張感をもって注視していく必要がある」と訴えている。

 さらに防衛白書は、沖縄県の尖閣諸島周辺海域での中国海警船の領海侵入について「そもそも国際法違反」と批判し、接続水域での連続航行が2020年は333日で過去最多に達し、同年10月には領海侵入が過去最長の57時間にも及んだことを取り上げ、「中国の挑発行為の激化」を強調している。

 今年2月に施行された海警法についても「適用海域が曖昧で、国際法との整合性の観点から大きな問題がある」と指摘した。

 ■政権の正当性を国民に信じ込ませる必要がある

 こうした日本政府の主張に対し、中国政府は「尖閣諸島は中国領土の不可分の一部だ」「日本が自由で開かれたと主張するインド太平洋構想は、歴史的逆走の産物で、ゴミの山に捨てるべきだ」などと露骨に反発する。

 耳障りな言葉を並び立てる習近平政権のこの戦術は「戦狼外交」と呼ばれる。強い言葉で相手国を罵倒し、自国の正当さを何度もアピールする好戦的外交戦術である。「嘘も百回言えば真実になる」や「三人、虎を成す」ということわざの類を地で行くものだ。

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