海外情勢

露下院選投票始まる 言論弾圧、バラマキ…政権は「大勝」へ躍起

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアで大統領選に次いで重要とされる5年に1度の下院選の投票が17日に始まった。19日に開票される。支持率が低下しているプーチン政権は、反体制派への弾圧やメディア統制の強化など「政治浄化」を進めるとともに、広範な国民層にカネをばらまくなど、なりふり構わない選挙対策を実施。与党「統一ロシア」の大勝を確実にしようと躍起になっている。

 下院選は小選挙区と比例代表の並立制で、450議席が争われる。露下院は現在、統一ロシア(改選前334議席)と、政権に迎合的な「体制内野党」と呼ばれる共産党(同43議席)や自由民主党(同40議席)、公正ロシア(同23議席)の4党で占められ、政権の決定を追認するだけの機関と化している。ただ、国民の幅広い支持を誇示したい政権にとって統一ロシアの大勝は不可欠だ。プーチン大統領は16日、「ロシアと国民の利益を実現するためには強く権威ある議会が必要だ」と投票を呼び掛けた。

 今回の下院選は当初、統一ロシアの苦戦を予測する見方もあった。2016年の前回選では、国民を熱狂させた14年のウクライナ南部クリミア半島併合の余熱が社会にあり、プーチン氏の支持率も80%を超えていた。しかし近年は経済低迷や強権統治への不満などを背景にプーチン氏の支持率は60%前後で推移。前回選時は40%超だった統一ロシアの支持率も30%前後まで下落している。地方の首長選などで与党系候補が敗北する波乱も起きていた。

 こうした状況に危機感を抱いたプーチン政権は統制を強化。政権側の腐敗を告発し有力な非与党系候補に投票を集中させる「賢い投票」を主導してきた反体制派指導者、ナワリヌイ氏を今年春に投獄。同氏の支援団体も「過激派」に指定し、全活動を禁止して壊滅させた。さらに、「賢い投票」を呼び掛けるサイトも接続を遮断した。

 選挙前には、「賢い投票」への参加を表明するなどした人々の個人情報がインターネットに流出。警察官が個別に自宅を訪問して事情を聴くなど、実質的な投票妨害も行われている。

 政権はまた、政権に批判的な独立系メディアを、スパイと同義で、当局の厳しい監視下に置かれる「外国の代理人」に相次いで指定。不利益を恐れたスポンサー企業が広告を引き揚げ、活動停止に追い込まれるメディアも出ている。

 一方で政権は、年金受給者や貧困層などを対象に、手当の拡充や一時金の支給といったバラマキ政策も忘れずに実施。露シンクタンクの事前予測によると、統一ロシアは今回選で議席を減らすものの、約300議席を獲得する見通しとなっている。

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