海外情勢

習近平氏「国外で火力発電所を新設せず」 国連総会で表明、対米協調アピールか

 【ニューヨーク=平田雄介、北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は21日、国連総会一般討論でのビデオ演説で、気候変動対策に関する取り組みとして「国外で石炭火力発電所の新規建設は行わない」との方針を表明した。バイデン米政権の求めに応じた形で、対立が続く米中関係の改善に向け協調姿勢をアピールしたとみられる。

 9月上旬にバイデン政権のケリー大統領特使(気候変動問題担当)が訪中した際、海外での石炭火力発電所建設への支援停止を公約するよう中国側に求めていた。習氏は演説で、2060年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするとの目標を改めて強調した。

 一方で習氏は、直接の言及は避けながらも、アフガニスタンからの駐留米軍の撤収を念頭に「最近の国際情勢が再び証明しているように、外部からの軍事介入や、いわゆる『民主改造』は限りない災いを残す」と批判した。

 習氏は「小派閥や、(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームを排除する必要がある」と主張。米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」など、バイデン政権が主導する「中国包囲網」の構築を牽制した。

 中国の国際社会への貢献も強調し、今年中に途上国に向けて1億回分の新型コロナウイルスワクチンを供給する方針を改めて表明。同時にウイルス起源の調査で一層の情報開示を求める米国などを念頭に「政治的にもてあそぶことに断固反対する」と反発した。

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