海外情勢

続くイランの「恫喝政策」、対米協議は難航必至 新大統領国連演説

 【カイロ=佐藤貴生】イランのライシ大統領は21日、国連総会の一般討論演説で、制裁解除のための米国との間接協議再開に前向きな姿勢を示した。ただ、ライシ師は今月上旬、「圧力」が続くなかでの対話には応じないと米国を牽制(けんせい)。イランは今年、核兵器級に一気に近づく濃縮度60%のウランを製造するなど、制裁解除に向けた「恫喝(どうかつ)政策」を続けている。

 8月に発足したライシ政権では、反米の牙城である革命防衛隊と親密な関係とされるアブドラヒアン元外務次官が外相に就任。間接協議で代表団を率いたアラグチ外務次官に代わり、反米保守強硬派のアハマディネジャド政権(2005~13年)で核交渉を担当したバゲリ氏が後任の次官になった。反米色が強まり、間接協議は再開したとしても難航が予想される。

 また、ライシ師は21日の演説で、駐留米軍のアフガニスタン撤収に伴ってイスラム原理主義勢力タリバンが同国で実権を掌握したことをふまえ、米国の覇権は信頼を失ったと強調。親イラン民兵組織が活動しているイラクやシリアの米軍駐留は「民主化を妨げている」と批判した。

 アフガン情勢を踏まえ、「ライシ政権は周辺国からの米国の影響力排除を推進する」(イランの識者)との見方もあり、反米に傾くイランの動きにより中東は不透明な情勢になりつつある。

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