海外情勢

台湾・最大野党、25日に党主席選 親中派候補が話題

 【台北=矢板明夫】台湾の最大野党、中国国民党の党主席選が25日に行われる。「中国と平和協定の交渉を直ちに始めるべきだ」と主張する親中派の学者、張亜中氏(66)がダークホースとして大きな話題を呼んでいて、同候補が当選すれば、中台関係に大きな変化をもたらす可能性もある。

 党主席選には4人が立候補し、台湾メディアは当初、現職の江啓臣氏(49)と元職の朱立倫氏(60)による対決構図だと分析。政治経験のほとんどない台湾大学の元教授である張氏は泡沫(ほうまつ)候補という扱いだった。

 しかし、優位とみられていた2候補の主張に大きな違いはなく、特に対中政策は、温度差があるものの「主権問題に触れず、交流を推進する」とほぼ一致している。2人とも2024年の総統選を念頭に入れており、嫌中感情の強い一般有権者を刺激しないよう慎重に言葉を選びながら選挙戦を進めてきた。

 これに対し、張氏は「私が当選すればすぐに北京に行き、共産党と平和協定締結の交渉を始める」といった過激な主張を展開した。

 党員には1949年に中国大陸から国民党政権と一緒に台湾に渡ってきた元軍人やその子孫が多く、一般世論と異なり中国への警戒感が薄く、張氏を支持する声が広がった。

 台湾メディアによると、国民党が17日までに党員を対象に行った世論調査で、張氏の支持率は30・6%でトップ。2位の朱氏は27・5%、現職の江氏は3位の12・8%にとどまり、党内には「張氏が当選すれば、来年の統一地方選は戦えない」と衝撃が走った。

 朱氏を支持する党関係者は「張氏が台湾の最大野党トップとして北京と和平交渉を開始すれば、国際社会による台湾支持の力が弱まる可能性もある」と懸念する。党主席選は約40万人の党員が直接投票し、即日開票される。

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