リブランディングと組織開発を通じて、士気を高める
ここで、モデレーターの旦部からは「リブランディングしたとはいえ、社員に定着するまでは時間がかかると思う。苦労した点はありますか?」と疑問が投げかけられました。
「ご指摘の通り、言葉を掲げたとしても、成功体験が社員にないので、定着するまでは時間がかかりましたね。それぞれの社員はプロフェッショナルなスキルを持っていますが、職種を超えたもの同士のコミュニケーションが少ないことが、最初は特に大変でした」
そこで、伊藤さんは最初に自身が新たなビジョンに基づいて意思決定をするということを、周囲に見せていきました。ゴールが明確になり、みんなが共通認識を持つと仕事がしやすくなる、成果が生まれていくという実感を持ってほしいと考えたそうです。
また、コミュニケーション面では、職種ごとの思いや課題などを把握するため、1on1を丁寧に実施。吸い上げた意見を、会社の方向性や事業に反映させていきました。
「対面でのやりとりが難しくなったコロナ禍においては、職種を横断したプロジェクトチームを5~6個立ち上げました。そして私が全プロジェクトチームに入り、事業を成長させることを目的に、部署間のコミュニケーションを半ば強制的に促進させました。その結果、コロナ禍でも事業を成長させることができ、社内の風通しも良くなった印象があります。もちろん、小さな会社であるがゆえにさまざまな制約があり、やりたくても実施できなかった取り組みもあります。会社が進む方向性とマッチせず、離職してしまう社員が出て、悲しいこともありました。しかし、これまでの歩みの成果もあり、事業成長を喜びに感じてくれている社員も増えており、私自身も挑戦して良かったと感じています」
同社は現在、不満買取センターで得られた知見をもとに、サービス展開に注力。VoC(Voice of Customer)のテキストをAIで解析し、お客様の意見やサービスの課題を可視化することで、企業のマーケティングに貢献する「アイタスクラウド」などを展開しています。
今後は、生活者の声をもとに、ビジネスでは解決できない社会課題にも踏み込んでいきたいと語る伊藤さん。最後に「1社でできることは限られているので、さまざまな企業と連携し、価値を共創するハブになっていきたい」と語り、イベントは締めくくられました。
【CONNECT in 丸の内】では、三菱地所が運営する国内外のスタートアップとそのサポーター約600名が集う起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」による、イノベーション創出支援を目的とした活動の一部をご紹介します! アーカイブはこちら