Fromモーニングピッチ

受け継がれたアセットを進化 老舗企業のイノベーションが日本経済を支える

永石 和恵
永石 和恵

 デロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを東京・大手町で開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげることを狙いとしています。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は老舗企業イノベーションです。

47都道府県で老舗企業の出現率が最も高いのは京都

 日本の創業100年以上の企業数は約33,000社で世界第1位です。200年以上の数は1340社と世界全体の65%を占め、2位の米国と53ポイントもの差をつけるという長寿企業大国と言えます。

 日本の老舗企業を業種別にみると「貸事務所」「清酒製造」が上位に入っています。年商規模別の社数は1億円未満が最も多いのですが、老舗企業の出現率でみた場合、年商規模が大きくなるにつれて割合が高くなります。500億円以上は最も高く出現率は15%です。

 老舗企業の出現率を47都道府県別でみると、最も高いのは伝統工芸や旅館が多い京都府です。次いで、京都と同様に山形県、新潟県という酒どころが2位、3位を占めています。

後継者が30代の時に事業承継を行うと業績が好転

 老舗企業の約半数は親族で経営を継承しており、後継者が40代で交代するケースが割合として多くなっています。

 東京商工会議所による「中小・小規模企業経営者への事業承継に関するアンケート調査」によると、後継者が30代の頃に事業継承を行った場合、その後の業績が良くなる割合が高くなっています。また、30~40代で引き継いだ経営者は事業承継のタイミングを「ちょうどよい時期」と回答している割合が高く、前向きに取り組んでいる経営者が多いようです。この調査は事業承継を行う際、現経営者の年齢ではなく次期経営者の年齢を検討する必要があると示唆しています。

アセットや安定性はメリットにもデメリットにも

 老舗企業はアセット、安定性、後継ぎ使命という特性を備えていますが、これはメリットにもデメリットにもなり得ます。伝統技術や長年の顧客基盤・安定性、長年受け継がれ洗練された老舗の看板は強みである一方、(1)保守的にならざるを得ない(2)新規性や開拓の妨げになることがある(3)先代からの思いや前例を考慮しなくてはいけない-といったジレンマも生じやすいようです。

 こうした中、アセット・安定性・後継ぎ使命と新商品開発、最新テクノロジー活用、マーケティング革新、ターゲットや市場の拡大、企業コラボ、新業態参入との組み合わせによって、時代に合わせながらイノベーションを起こす事例も増えてきています。

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