働き方

人手不足、大都市・地方問わず 「15~64歳」最低水準

 ◆観光の求人6.15倍

 「日本のサービス業のおもてなしは他国にないほど素晴らしく、中国でも広げたい。試験はかなりできたと思う」。日本で専門学校に通う中国人女性(24)は東京都内で受験後、抱負と手応えを笑顔で語った。

 試験がこの日行われたのは全国7会場。札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡でそれぞれ30~60人、東京では約120人が挑んだ。

 観光庁によると、業界では人材難が続く。支配人や給仕係、接客係などの17年の有効求人倍率は6.15倍。働き手を見つけられず、空室があっても予約を断る事態が一部で起きている。

 「他産業に比べ給料も良くない。地方ほど人手不足は深刻だ」。日本旅館協会の担当者は、土日に休みにくいこともあり、日本人に敬遠されがちだと打ち明けた。

 成長戦略の柱として訪日客誘致に取り組む政府の推計では、23年に業界で約10万人の労働力不足が見込まれる。このため、業務効率化や日本人の就労を進めても足りない約2万2000人を外国人材で補う計画だ。

「特定技能」将来に期待

 ホテルチェーン大手も独自に動きだしている。東横インは、フィリピン・セブ島の自社ホテルで働く現地従業員約20人に、特定技能試験に向けた研修を実施。将来の日本勤務に期待を寄せる。

 ただ、就労の希望先が賃金水準や利便性の高い都市部に偏る懸念は拭えない。受験者は各地に住む留学生が多く、同じ地域で働きたい人もいるとみられるが「交通の便が良い東京周辺か、観光資源の多い京都で働きたい」(東京会場のネパール人男性)といった声は少なくなさそうだ。山陰地方の温泉旅館組合役員は「採用ルートを考えるなど、流れに乗り遅れないよう研究している」と危機感をにじませる。

 合格すれば技能に一定の「お墨付き」が与えられる。とはいえ、大阪府の人材紹介会社の担当者は「即戦力になるかは未知数」とみる。

 同社は試験を「新たな人材獲得の道ができた」と評価し、受験申請を支援してきたが、業界での経験がない留学生もいるという。担当者は「採用側で一人前に育てることが大切。そうすれば十分に活躍できる」と、研修の充実を訴える。

 外国人の少ない地域では、安心して暮らしてもらえる環境づくりも課題となる。京都外国語大の広岡裕一教授(観光学)は「個々の宿泊施設だけでなく、旅館組合や市町村などが地域単位でサポート態勢を組むことが重要だ」と強調した。

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