働き方
仕組み複雑…外国人材拡大、運用は手探り状態
外国人の就労機会を広げる改正出入国管理法が4月1日、施行された。慢性的な人手不足に悩む中小企業が多いうえ、2025年の大阪・関西万博開催を契機に旅行客の急増が見込まれる関西だけに、労働力確保への期待は大きい。しかし、制度の仕組みは複雑で、運用は手探り状態が続く。官民の現場からは早くも機能不全を指摘する声が上がっている。
「熱処理」で混乱
「仕事、慣れたら簡単。外国人でもオーケーね」
3月中旬、自動車部品などの加工を手がける「理化工業」(大阪府八尾市)。機械が所狭しと並ぶ工場の一角で、ベトナムから来た4人の「技能実習生」が大量のネジを塗装用の型にはめ込む工程を担っていた。
同社の主力事業は、900度に熱した炉に金属部品を入れて強度を高める「熱処理加工」だ。6つの炉を24時間態勢で動かすため、76人いる従業員の4割ほどが昼夜交代で作業に当たっている。
人手のかかる仕事だが、4人の実習生は手を貸さない。実習生に認められる業務の中に「熱処理加工」が入っていないからだ。
4月からの新制度では14業種で「特定技能」の在留資格がある外国人労働者を受け入れられるようになった。素形材産業に区分され、「熱処理加工」や溶接、塗装などの業務を扱う「熱処理業者」もその対象だ。
にもかかわらず、多くの業者が主力とする「熱処理加工」の業務そのものは、受け入れ対象から外れた。