社会・その他
ミカンの腐敗、紫外線で抑制 和歌山の研究所などが装置開発
全国有数のミカンの産地・和歌山で、一般財団法人「雑賀技術研究所」(和歌山市黒田)は、ミカンに紫外線を照射して抗菌力を高め、腐敗を抑制する装置を静岡県などと共同で開発した。選果場などへの導入を目指している。今秋にはミカン農家が実際に装置を使い、実用性を検証する予定という。
研究所は工業技術や農産物の品質安全についての研究などを手がけ、ミカンの糖度を光センサーで計る装置も開発している。
ミカンは、生産現場で腐った果実を木から取り除いたり、輸送中のコンテナ内で腐敗したりすることが、事業者への大きな負担となっている。
研究所は静岡県農林技術研究所などと共同で平成29年から、紫外線照射によってミカンが生み出す抗菌物質「スコパロン」ができる条件などを研究。スコパロンは植物が外的ストレスを受けたときに生み出すポリフェノールの一種で、一度できるとしばらく果実の皮に残り、腐敗抑制効果が持続する。流通過程だけでなく、消費者が購入後も効果が期待できる。
これまでも腐敗抑制のため紫外線を使った殺菌処理技術は確立されていたが、主に果実の皮の表面についた菌を死滅させることが目的で、効果は一時的だったという。