精神障害者が働く現場を訪ねる 発達障害や統合失調症…企業規模で異なる雇用
大学卒業後に入社したメーカーでの長時間勤務などが影響し、統合失調症と診断されたという男性(42)はサンライズで「最初はゆっくりでいいから」と声をかけてもらって気が楽になったという。
今では作業内容も多様化し、職場のサブリーダーも任された。「正直しんどいですけど、せっかくの機会だとも思っています」と前向きだ。
特例子会社活用
障害者雇用促進法で、企業に義務づけられている障害者の割合(法定雇用率)は、昨年4月から2・0%から2・2%に引き上げられた。同時に雇用義務の対象に精神障害者が加わった。
企業には障害者のために職場環境を整え一定の要件を満たせば、従業員数を親会社の法定雇用率に反映できる特例子会社を設立するケースもある。
大日本住友製薬は昨年7月、精神障害者雇用の目的で特例子会社「ココワーク」を設立。水耕栽培による野菜栽培と販売を手掛け、設備投資に1億円を投じた。
大日本住友は統合失調症の治療薬「ラツーダ(ルラシドン)」を製造販売するなど精神神経領域の創薬に力を入れている。ココワークの渡辺晶子社長は「治療薬を通じて疾患を詳しく知ることになり、精神障害の治療には薬だけでなく環境の整備も重要だと感じていた」と話す。同社では通院のための休暇制度を導入、また、従業員には日報を書いてもらい体調管理を進めている。
今年4月、30代と40代の統合失調症の男性5人を採用。大阪府吹田市の水耕栽培施設で、30代の男性従業員は「これまでの職場では、障害を隠していた。同僚と親しくなっても、嘘をついている気がした。今は周囲の人みんなに理解してもらって、心が晴れた」と話す。
5人の入社で、大日本住友の法定雇用率は2・2%に。今後は収益をあげて自立するのが目標だ。
中小には厳しく
厚生労働省によると、民間企業の障害者雇用数(平成30年6月時点)は前年比7・9%増の53万4769・5人(短時間労働者は0・5人分と計算)。過去最多となった。
中でも精神障害者は6万7395人で34・7%増と顕著に伸びた。大阪労働局によると、大阪府内の企業で働く精神障害者も39・3%増の5361人と、大きく増加している。
国は、法定雇用率を達成できなかった企業から事実上の“罰金”となる納付金を徴収しており、精神障害者雇用の義務化を受けて雇用が拡大した格好だ。
ただ、大企業は特例子会社を設立したり事業を広げたりすることで雇用を拡大しやすいが、中小企業は厳しい立場に置かれている。