社会・その他

ブラック企業をやめられないのも“依存”…最新ルポ漫画の怖い中身

 “洗脳”が入り口の依存

 体験談の中でも異色なのが、ブラック企業への依存だ。登場するのは、ブラック企業を2社経験したという女性。長時間労働で外部との関係が遮断された中、上司から「無能!」「他では通用しない!」などと叱責され、たまに優しくされるという「DVと同じやり口だった」。過労による判断力の低下とパワハラによる自己肯定感の低下で、「つらい日常から抜け出せなくなっていた」と打ち明ける。

 他の多くの依存と異なり、入り口は楽しさではなく洗脳だ。大石氏は「ブラック企業を辞められない」、または「DVをしてくる相手と別れられない」という状態について、「医学的に『依存』と言い切ることはできないが、心理的に非常に依存と近く、『依存的』と言って問題ない」と分析。自分のことをコントロールしようとする人▽「アメとムチ」による二重洗脳▽外部との関係を遮断してくる人-に気をつけるよう訴える。

 「早く自分で」気付いて

 お酒もゲームも買い物も、人生を楽しくしてくれるツール。現代ではネットも生活に必要不可欠な存在だ。誰もが依存症になり得る中で、大切なのはプチ依存の段階で「できるだけ早く、自分の状況に気付くこと」だと大石氏。そのためには、対象にかけたお金や時間などを把握して「客観的になることが大事」とアドバイスする。ブラック企業などが対象の場合は、相手にされた行動を書き出すことが効果的だという。

 さまざまな体験談を聞き終え、「楽しくない現実と向き合う力になるのは、自己肯定感。簡単なことから少しずつ成功体験を積んでいくことが大切」と感じた汐街さん。依存に心当たりのある人に向けて、「この本を読んで、人生がちょっとでも良くなるキッカケになれば」と話している。

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