大勢の前で上手に話すには、どうすればいいか。事業戦略コンサルタントのリップシャッツ信元夏代氏は「どんなメッセージでも『20字以内』に絞り込むことはできる。それを前提に言葉を削ぎ落とす必要がある」と指摘する--。
※本稿は、リップシャッツ信元夏代『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
結局、なにが言いたいの?
スピーチやプレゼンで言いたいことが伝わらないのには、必ず理由があります。それもどれもがふだん気づかず、無意識にやりがちなことなのです。
よくあるのが、一生懸命伝えようとすればするほど「伝わらない」というケースです。どうすれば間違いなく伝わるのか、ブレイクスルーメソッドの基本的なコンセプトを説明していきましょう。
私自身がパブリックスピーキングを学ぶときに、コーチを買って出てくれたジャニスから、まず徹底的に指導されたのが、メッセージをひとつに絞ることでした。
「ナツヨ、それで結局、なにがいいたいの? スピーチの中にメッセージが2つあるわ。どちらが伝えたいこと?」
自分ではいいたいことを詰めこんでいたつもりでしたが、実際に指導されたのは、要らないことを「削ぎ落とす」作業でした。どんなスピーチでもプレゼンでも、この1点が聞き手に伝わって欲しいというメッセージがあるものです。
その「たったひとつの大事なメッセージ」をブレイクスルーメソッドでは、ワンビッグメッセージ(One Big Message)と呼んでいます。言いたいことをたったひとつのワンビッグメッセージに絞りこむことで、格段に相手に伝わりやすくなるのです。
しかも大事なのは、ワンビッグメッセージを「20字で語る」ことで、より明確に、意図したとおりに伝わるのです。20字におさめるなんてとうてい無理! とお思いかもしれませんね。もちろん、20字ですべてのスピーチ/プレゼンが完了するわけではありません。聞き手に最も刺さってほしいワンビッグメッセージを20字に凝縮する、ということです。