東京商工リサーチ特別レポート

「ジーンズ」不振が大手量販店を直撃 店舗数が減少、脱定番の動きも

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 ジーンズメイトは、2017年2月にライザップグループの連結子会社になって以来、店舗リニューアル、リブランド戦略を推し進めている。ある店舗のジーンズ在庫は2017年3月には商品全体の17%だったが、18年3月は14%、19年3月では9%に減少した。

 1本もジーンズがない「ジーンズメイト」

 渋谷店は、18年秋から19年1月にかけ、ジーンズを1本も置いていなかった。店舗のある渋谷センター街には、10代、20代の若者と外国人観光客が多い。女性客も意識した品ぞろえへ見直すうち、ジーンズ置き場がなくなった。だが、40代以上のお客から「“ジーンズメイト”なのに1本もジーンズがないの?」という驚きの声や、「またジーンズを置いてよ」という要望が寄せられた。そこで、19年春のリニューアルを機に、以前より売場を大幅に縮小して、再びジーンズを扱うように。顧客ニーズへの柔軟な対応で誘引力をさらに高めようとしている。

 「ジーンズレス」で黒字転換

 ジーンズの取り扱いを減らす理由について、ジーンズメイトの広報担当者は「ボトムスの多様化で若い世代でジーンズを求める層が減っている」と説明する。

 リニューアル効果は業績にも反映し、2019年3月期決算は11年ぶりの最終黒字を計上した。

 店舗の品揃えを見直す一方で、駅から離れたロードサイド店はジーンズを好むお客も多い。店舗によりジーンズを“置く”、“置かない”の判断が分かれる。ただ、「若者の多いファッションビルの店舗は、ジーンズをほとんど置かない店舗を増やす」(同広報)と、“ジーンズメイト”の新戦略は加速しそうだ。

1892年創業。日本を代表する大手民間信用調査機関。民間信用調査機関として110余年のキャリアを持ち、日本の経済、企業トレンドを見つめながら、ダンアンドブラッドストリートをはじめとする各国の調査会社とのパートナーシップも駆使し、3億件を超える国内・海外の企業情報を提供。企業間取引に欠かせない与信管理を支援している。日本で初めて「倒産」の言葉を定義づけた会社としても知られる。

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