働き方

退職代行、若手にとっては渡りに船 「幸福のモデル」は機能不全に陥った

 勤め先と話し合うことなく、さっと辞められる

 退職の意思を本人に代わって勤め先に伝える「退職代行サービス」が話題になっている。利用料金は3万~5万円程度。勤め先と話し合うことなく、さっと辞められる点が人気だという。

 こうしたサービスが話題になる背景の一つは人手不足だろう。わが国では、少子化・高齢化と人口減少が同時に進んでいる。多くの企業が、労働力の確保に苦しんでいる。企業はできるだけ長く従業員に勤めてもらいたい。そのため退職希望者を過度に引き留めるケースが増えているのだろう。

 働くことの動機は人それぞれだ。しかしお互いの信頼関係を傷つけることは歓迎できない。雇用者と被雇用者が、互いのことをしっかりと理解し、意思を尊重しあえる環境が目指されるべきである。そのために労働市場改革の推進が求められている。

 厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2013年11月以降、有効求人倍率は1倍を上回っている。これは、公共職業安定所(ハローワーク)における求人数が、求職者数よりも多いということだ。

 過去1年間程度の間、わが国の有効求人倍率は1.6倍台前半で推移している。47都道府県すべてで、労働需要が供給を上回り、雇用環境は逼迫(ひっぱく)している。年齢別にみると20~30代の求人の多さが目立つ。

 「人手不足倒産」の件数は過去最多に

 人手不足の深刻化は、企業経営にとって無視できない問題だ。東京商工リサーチによると、2018年の「人手不足倒産」の件数は387件だった。これは過去最多だ。人手不足倒産の最大の要因は「後継者問題」である。それに加え、「求人難」から倒産に追い込まれるケースも増えている。人手不足による人件費の増加や、社員の転職などによって事業が行き詰まる中小企業もある。

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