著者は語る

西野貴司氏『ファンドを活用する事業承継』

 未公開企業の株式を対象とするバイアウトファンドに限定しても、投資会社によって特徴はさまざまです。大企業は組織が確立しており、ファンドが経営権を握った後に経営陣や経営方針がガラリと変わっても、安定して事業を継続できますが、中小企業では状況が異なります。オーナー経営者が築き上げた組織文化が色濃く根付いており、人材採用も難しく社内リソースは限定されています。

 事業承継で悩みを抱える中小企業の経営者は、「今の状況を、どうにかしなくてはいけない!」という危機意識は持っていますが、良い相談相手が周りにいない場合がほとんどです。事業承継を実際に進めていく上で、「外部の目=第三者の視点」を入れて問題を見つめ直し、整理することは非常に大切です。(1500円+税 日本工業新聞社)

【プロフィル】西野貴司

 にしの・たかし 早大卒、1997年電通に入社。2003年アクセンチュア入社。05年に戦略グループのマネジャーに昇進。06年日興アントファクトリー(現アント・キャピタル・パートナーズ)に入社後、ACAに転籍。マネージングパートナーとして国内中小企業に特化したファンドを運用。18年に日本グロース・キャピタルを創設。資本提携先の取締役に就任し事業承継や成長戦略などの経営支援を手掛けている。仏HEC経営大学院で経営学修士課程(MBA)修了。

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