話の肖像画

海外の人と一緒に…真のグローバル企業へ ファストリ・柳井正氏(1)

 真のグローバル企業へ

 〈「an・an」や「MEN’S CLUB」などファッション誌が隆盛で、「いい服」といえば高価な海外ブランドのイメージが強かった昭和59年、ユニクロは「いつでも服を選べる巨大な倉庫(ユニーク・クロージング・ウエアハウス)」として創業した。手軽に高品質の服が手に入る衝撃は日本人の「いい服」への意識を変えた。近年はテニスの錦織圭やロジャー・フェデラー、ゴルフのアダム・スコットら人気選手と契約するなど、世界のカジュアルウエア(普段着)を席巻している。平成30年8月期の海外売上収益は8963億円(前期比26.6%増)と、初めて国内を抜いた〉

 今年中に中国や香港、台湾といったグレーターチャイナ(中国圏)の店舗数(30年8月末時点、726店舗)が、国内(同、827店舗、フランチャイズ店43店舗を含む)を抜くかもしれません。令和4年度には、中国圏の売上収益が、1兆円規模になる予定です。やはり、人口が13億人と1億人とでは、それは違いますよね。中国の方が、日本と比べて勢いがある。

 好調な海外事業に比べ、国内事業はなかなか厳しいですね。ただ、国内事業も成長させなければならない。海外にすごく軸足が移っているので、これを国内と組織的に分けています。ある人が海外のことをやりながら国内のこともやるという中途半端な状態は、良くないですからね。極論ですけど、海外事業の責任者と担当者は、隔週で海外に行くぐらいのつもりで仕事をしないといけないと思っています。アメリカのグローバル企業などは、大体そのような仕事のやり方になっているんですよね。月曜日から金曜日までは海外で勤務して、土日に家に帰ってまた海外に行く。そして月に1回本部に集まる。それの繰り返し。海外担当の人は、そういったふうに、確実に海外の仕事をしないといけない。当たり前のことをできるようにしようとしている最中です。

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