一方、フィラーが出にくいシチュエーションとはどのようなものでしょうか? こちらも「外圧」と「内圧」に分けて考えてみましょう。
【フィラーが出にくいシチュエーション(外圧が弱い場合)】
・気兼ねしない仲間との雑談
・社内や組織内での、業務とは無関係な雑談
・家族や友人との会話
・部下への指示
・独り言
【フィラーが出にくいシチュエーション(自己の内圧が強い場合)】
・自分の意見に自信がある
・喜怒哀楽の感情が爆発している
・自分のほうが立場が上
当然、心的負担がかかってこない友人や家族との間でもフィラーは出にくいでしょう。
一方、おごったような心理状態だったり、感情の爆発がそのまま表に出てくるようなシチュエーションもありますが、「自分が主導権を握っている状況」「自分に自信がある」「自己肯定感が高い」ときに、フィラーが出にくいということが見えてきます。また、フィラーが出やすいシチュエーションと比較して、項目数の少なさも際立っています。
「こういったぁー」「すごくぅー」「ふうにぃー」も耳障り
では次に、フィラーの種類について見ていきましょう。
〈えー〉〈あー〉以外にも、フィラーはたくさんあると先述しましたが、フィラーが出るタイミングによっていくつかに分類することができます。
【文頭挿入のフィラー】
一番よく耳にするのが、センテンスの文節の頭に入るパターンです。心理的抑圧のためにさっと本題に入れず、勢いをつけるために入れてしまうフィラーです。
「えー、ただ今、ご紹介にあずかりました○○です」
「えーっと、皆さん本日はお集まりいただきありがとうございます」
「まっ、今日は無礼講ということでね」
センテンスの文頭に入れるくらいであれば問題はないのですが、「えー、ただ今、あー、ご紹介に……」と文節ごとに入ってくると耳障りになってきます。
【母音引きずりフィラー】
直前の文節の最後の母音を引きずるフィラーもよく耳にします。話の中で〈間〉が空くのが怖いのか、とにかく話を繋げたいという心理から出てきます。
「いろんなものぉー、こういったぁー、ふうにぃー、もっていってぇー、……」
「これはぁー、すごくぅー、いいなぁとぉー、……」
母音が多い日本語ならではのフィラーともいえます。先の「文頭挿入」と、この「母音引きずり」については、話し手はほとんど無意識にフィラーを入れている場合も多いと思います。
つまり癖になっている可能性が高いのですが、少なくともそれを自覚することが、改善への大きな一歩なのです。
【文節の区切りに、たまらず入れてしまうフィラー】
話を続けられなくなったときに苦し紛れに入れてしまうフィラーが次のようなもので、この状況に陥ると、フィラーが連発される傾向にあります。
「私はこのような状況をまず社内全体に伝えて、皆さん一人ひとりに知ってもらおうと思い、そうすれば早いうちに対策ができるんじゃないかと、こんな気持ちが先走ってですね、直接、社長に話をもっていって、えー、……」
このように話を区切ることなく続けると、たまらず〈えー〉と言ってしまいます。なんとか次に繋げなきゃいけないという切迫感が聞き手にひしひしと伝わります。話し手の頭の中は「とにかく文章を切らないように」といっぱいいっぱいになっているのです。
【言葉の中途に入るフィラー】
意識していない人には信じられないかもしれませんが、次のように「単語の中途」でもフィラーを入れてしまう人がいます。
「子どもは2人いて、上の子が小学、えっ? 小学生で」
「小学」まできたら、普通は「小学○年生」「小学校の○年生」、あるいは「小学生」のうちのどれかの言葉になるでしょう。しかし、単語の中途で言葉に詰まってしまうのです。
原因として考えられるのは、ふとした拍子に襲ってくる不安です。「こんなしゃべり方でいいのかしら?」というちょっとした気がかり、「小学生にしようか、学年まで言う必要があるのか?」とふっと迷う心の躊躇(ちゅうちょ)、動揺が、「言葉の中途」にもかかわらず、フィラーを入れてしまうのです。
(スピーチトレーナー 高津 和彦)