保護費の抑制? 生活への介入? 「家計相談支援員」のお仕事とは
生活保護費は高止まり
相談窓口の設置は、平成27年に施行された生活困窮者自立支援法に基づく。背景には生活保護費の増加がある。
厚生労働省によると、30年10月時点の生活保護受給者は約210万人で、およそ60人に1人が受給。現行制度で最多だった27年3月から約8万人減ったものの、高止まりが続く。保護費の総額は30年度の当初予算ベースで約3.8兆円に達している。
受給者が約14万人と全国最多の大阪市では、港区をはじめ全24区に相談窓口がある。「家賃が払えない」「仕事が見つからない」「家族のことで悩みがある」といった生活に関する相談を幅広く受け付けており、家計改善のほかにも住居確保給付金制度や子供の学習支援などさまざまなメニューが用意されている。
同市の伊藤奈美・生活困窮者支援担当課長は「必要に応じてさまざまなサービスを組み合わせ、一人一人に最適なサポートを行うようにしている」と説明する。
低所得の解消が先?
同市は自立支援制度による生活保護費の削減効果額を算出していないとしているが、全国的にみて、総額抑制に一定の効果はあると評価されている。
ただ家計相談については自治体による生活への介入だと批判的意見もある。
生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事は「困窮者のために最初にやるべきことが、家計管理ではない」と疑問を呈する。
そもそも低すぎる所得が貧困を招いており、「やらないよりはやった方がいいが、根本的には収入が上がり、支出を下げる施策を優先すべきだ」と話す。
自立支援法改正により昨年10月からは、家計改善の支援業務を行うことが自治体の努力義務となった。ある大阪府内の首長は「支援員制度もそうだし、子供食堂へのサポートも対症療法としか思えない。食べられない子供がいるなら、そこには食べられない親がいる」と指摘し、ミクロに傾く国の困窮者対策を批判した。
港区役所に窓口が設置された当初から支援員を務める佐藤さんは「相談に来れば必ず問題が解決するというものではなく、『力になれず、すいません』ということもある。支出を抑えられないなら収入を上げる必要があり、就労支援を組み合わせるなど手探りで進めている」と実情を語る。