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「日本人は心配性だから過剰管理」 台風が外国人の日本文化理解に与えた影響

安西洋之
安西洋之

 最後のラップアップでは、企業訪問中に見聞した事象について、日本文化独自の要素が強いもの、ユニバーサルな性格が強いものなどに分類し、その判断の理由を話し合う。

 今年の参加者の殆どが日本は初めてで、日本企業と直接仕事をしたことがない人たちであったためか、あるいは訪問した企業が抜きん出ているためか、見聞したことをユニバーサルであると受け取った人たちが比較的多かった。

 事業のビジョンを表現する言葉、現場でみるシステム、これらが世界のあらゆるところで見るものと共通性が高いとの印象を受けたわけだ。

 ところで彼らの日本文化への理解は、6日目の10月11日以降、さらに深まっていく(あるいは、印象が微妙に変化していく)。即ち、台風19号の影響で欧州への帰国便の変更や中止の連絡が航空会社から各自のスマホに届き、同じころ公共交通機関が計画運休を発表した日である。

 それぞれに違った飛行機を予約していた。だから航空会社の対応はさまざまだ。

 そこで飛行機の日程が大幅にずれること(欧州便は遠いため機材のアレンジが近距離よりも手間取るケースが頻発)により、都内のホテルの予約や空港までの足の確保が緊急対策として浮上してきた。しかしながら、足止めを食った人たちは他にも沢山いて、そう簡単にはいかない。

 こうした際、各機関・企業の対応が「過剰に硬直的ではないか」との感想をもつ参加者が増えてくる。例えば「成田空港まで12日の早朝に電車かタクシーで行けば、なんとか飛ぶ午前中の飛行機に間に合う。早朝の電車かタクシーを予約したい」と言っても、どこのタクシー会社も12日の運行は保証できかねるから予約を受けない。電車は予約できるが、運行自体が怪しい(リムジンバスは予約可能だったが、既に席は一杯だった)。

 もちろん、12日早朝に予約なしで掴まるタクシーがあるかもしれないが、雨の状況によってはタクシーが走らず、空港まで行けない可能性もある。そうなると「だいたい、電車の計画運休という対処がやり過ぎ」と槍玉にあがってくる。

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