意見書には、(1)幹部職員に求められる役割を明確に示すこと、(2)民間からの幹部ポストへの登用の拡大、(3)抜擢人事に不可欠な「特例降任」の実施、(4)能力・実績主義の人事評価の徹底--が本来実行されるべき事として明記されている。そのうえで、「能力・実績主義を一層貫徹するために、給与制度の見直しこそ最重要課題である」と結論付けている。
要は、定年までの雇用を前提にした年功序列の賃金制度ではなく、優秀ならば若手でも幹部ポストに抜擢し、比較的高い給与を支払う給与制度に変えるべきだとしているのだ。ちなみに、降格が必要なのは、ポストによって定員が決められている公務員の場合、降格ができなければポストを空けることができず、若手や民間人を抜擢する事ができないのである。
定年廃止、能力主義の人材配置が必要
与党である自民党ですら改革を求めている霞が関の人事制度だが、政府や霞が関はまったく耳を貸そうとしないのが現状だ。年功序列の給与制度は、一定以上の勤続年数がたち、ポストに就くようになると、一気に待遇が改善される。
霞が関で課長になれば1100万円から1400万円、局長級は1800万円から2000万円、事務次官ともなると2500万円から3000万円になるとされる。「公務員の給与は安い」と一般的に信じられているのは、現業職の現場や課長補佐以下の職員の給与である。今回の給与法改正は一般職の給与改定だが、幹部の給与もこれに連動して引き上げられることになる。
さらに、公務員の定年の引き上げもほぼ固まっている。現在60歳の定年を、段階的に65歳まで延長する方針だ。民間企業の場合、60歳の定年を機に再雇用となり、給与水準が大幅に引き下げられるのが一般的だが、公務員は60歳からはそれまでの7割程度とするとされている。「民間並み」などどこ吹く風なのだ。
定年が引き上げられ、高齢職員がポストに居座り続けることになれば、ますます若手に重要なポストは回ってこない。課長になるのが遅くなれば、当然、若手の給与は低いまま放置される。
いっその事、欧米のように定年自体を廃止してはどうか。そのうえで、年齢や勤続年数に関係のない能力主義の人材配置を行う。そうなれば若手の抜擢も可能になり、有能な人材を霞が関に集めることができるだろう。
(経済ジャーナリスト 磯山 友幸)