これまで正規雇用で働いたことのない人にとっての、就転職活動をするための時間や労力を捻出することも困難だ。正規雇用で働いて当然というプレッシャー自体が、この世代にとって心地よいものとは言えない。支援と言いつつも、国の思惑を強く感じるものになっている。
リクナビの「内定辞退率予測」問題についても、求職者の人権に関わる問題である。個人情報の扱いの問題はもちろんだが、求職者の情報をどこまで利活用して良いのかという問題もはらんでいる。
このICTやAI、さらには各種データを利活用した「HRテック」というものが広がっていることも認識したい。これはホワイトナイトなのか、黒船なのか。
話題のAI選考のように、エントリーシートの読み込みをAIが行う、スマートフォンのアプリが面接を代行するなどの取組みが行われている。これは善なのか、悪なのか。
AI選考のメリットもある
メリットがあることも確認しておきたい。人間ではない、AIが選考を行うことに対する抵抗感はあるだろう。ただ、では人間による選考は優れているのか? 人間による視点のブレなどを回避することができるし、人事の業務負荷軽減にもつながる。精度も高くなっていく。人間では読めない量のエントリーシートを読み込むことができるので、大学名で差別・区別されていた学生が救われる可能性だってある。
採用だけではない。優秀な営業マンと、売れない営業マンの行動特性を分析する仕組みや、離職しそうな社員を分析するツールもすでに登場している。
とはいえ、どこまでを機械にまかせるのかは大きな論点だろう。まさに人間と機械が闘う『ターミネーター』のような時代がやってきている。なお、同作品の最新作がリリースされ賛否をよんでいるが、以前は夢のようなSFの話が、現実になっているというのも大きなポイントだろう。
他にもフリーランスの拡大、ギグ・エコノミー、外国人労働者の拡大、働き方改革関連法案の施行、ストライキ、就活セクハラなどなど、キーワードは多数あった。流行語大賞にはノミネートされなかったものの、問題として認識しておきたい。
これらのキーワードに共通するのは、労働者にとって優しい社会になっているか、厳しい社会になっているかという論点である。一見すると聞こえの良さそうなものの裏には、労働者を安く買い叩く意図が見え隠れする。
いかにして、労働者の権利を守るのかを考えなくてはならない。何より、来年は労働者にとってのハッピーなキーワードが増えることを願っている。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら