ハリウッドで差別と戦いスターへ 大活躍を始めた東アジアの男優たち
この作品、主人公の中国人のアクションスター、ジェット・リー(56)と米歌手兼女優のアリーヤ(両親はアフリカ系アメリカ人とネイティブアメリカン)のキスシーンが没になり、最終的に、単なるハグ(腕で抱きしめること)の場面に差し替えられたというのです…。
東アジア系のアクションスターといえば、香港のジャッキー・チェン(65)もそうでした。日本でも大スターだった彼ですが、米ハリウッドに進出するも、残念ながら、大体“英語がへたくそなおっちょこちょいだが、超強力なカンフーの技で敵をなぎ倒す”といったステレオタイプの役柄しか与えられませんでした…。
日本男子としては何だか悲しい話ばかりなのですが、もっと悲しいデータもあるのです。
2004年に登場した米の大手出会い系サイト「オーケーキューピッド」の2014年の調査によると、東アジアの男性は白人や黒人、ラテン系の女性から見て、他の人種の男性に比べて平均で12~14%、魅力に欠けていたことが判明。米ニューヨークの名門、コロンビア大学がスピードデーティング(日本で言えば婚活パーティー)について調査した結果によると、2回目のデートにこぎつけるのが最も難しい人種であることが分かりました。
さらに別の研究によると、東アジア系の男性が白人男性というライバルを出し抜き、白人女性とデートにこぎけたいと思うなら、最低でも年収約24万7000ドル(約2700万円)を稼ぐ必要があるというのです…。
映画の外の世界でも、東アジア系の男性の地位は想像以上に低いわけですが、ガーディアン紙はこうしたステレオタイプな見方が根強い理由について、東アジアの移民が数十年にわたって西側世界にとって危険な人種であるという差別的な見方があったからだと指摘します。
そして、英作家サックス・ローマーが1913年に創作した架空の中国人で、東洋人による世界征服の野望を持つ怪人「フー・マンチュー」のように、元々あるネガティブなイメージをことさら強調するようなキャラクターが映画などでたびたび登場するようになったことが大きいと明言しています。
これまで深く考えたこともなかったのですが、確かに米ハリウッドにおける東アジア系の俳優の存在感や立場、そして描かれ方は、「ダイバーシティ」(人種や趣向、文化の多様性)や「インクルージョン」(多様な文化や背景、個人的特質をもった人を組織や社会が受け入れようとする動き)が物語の重要な要素を占める昨今のハリウッド映画においても、実力や才能を正当に評価したものだとは言えません。
前述した東アジア系の俳優たちの今後の活躍が、米ハリウッドを変えることを期待したいものです。(岡田敏一)
【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。
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